伝説のとおり、UFOや超常現象、はたまたUMAが頻発して現れるエリアなのか。はたまた、土地ころがしを目論んだオーナーが作った、壮大なフェイクだったのか…。
アメリカのユタ州北東部にあるスキンウォーカー牧場は、東京ドームにして約44個分、512エーカーの広さを誇る巨大な施設だ。実はこの付近一帯では200年以上前から超常現象が多発、1970年代に入ってからはUFOの目撃報告も続出。ここ数十年は正体不明のUMA(未確認動物)が目撃されたほか、内臓や血液が抜き取られた家畜の死骸が発見されるという「キャトル・ミューティレーション」も多発する、いわくつきの場所とされてきた。
「スキンウォーカー」という名称は、この地で暮らしていた先住民ナバホ族の魔女、あるいは魔術師を意味する(2024年10月6日公開の本サイト記事で詳報)。この牧場を、実業家で不動産王のロバート・ビゲロー氏が購入したのは、1997年だった。UFO研究家が語る。
「2007年の『フォーブス』によれば、ビゲロー氏の資産は推定7億ドル(約767億円)。まさに不動産王であり大富豪なのですが、かねてから超常現象やUFO問題に傾倒する人物であり、1992年には『ビゲロー財団』を設立しています。『アブダクション-宇宙に連れ去られた13人』などの著書で知られるハーバード大精神医学教授のジョン・E・マック博士をはじめ、ネバダ州にある秘密基地『エリア51』から回収された宇宙船解析に関わったとされるボブ・ラザー氏の協力のもと、1995年には『全米発見科学協会』なる超常現象調査専門機関まで立ち上げた。その翌年、調査研究のために20万ドル(約2200万円)で買い取ったのが、この牧場だったといわれています」
ビゲロー氏がオーナーになってからも、この牧場ではUFOの目撃情報が相次いだ。何者かにより食いちぎられたニワトリの死骸が見つかったり、UMAを見たという証言もあとを絶たず、広大な牧場のどこかに化け物が潜んでいるのではないか、との疑念は消えなかった。
世界の研究者にとって、この「疑惑の宝庫」は注目の的に。2016年にはブランドン・フューガル氏という実業家が、450万ドルで購入することになる。ビゲロー氏が購入時の、20倍以上の高値だった。
その後もこの牧場で起きる不思議な現象は、航空工学エンジニアのトラビス・テイラー氏らのチームにより、改めて科学的に調査・検証された。近年ではヒストリーチャンネルのドキュメンタリー「スキンウォーカー牧場の超常現象」として放送され、2023年には「シーズン4」が大きな話題になった。
今も多くのジャーナリストや研究家が、このエリアで発生する謎を解明すべく訪れている。
(ジョン・ドゥ)