そのチームにとっては脅威となる「相性の悪い選手」というのがいる。プロ野球の世界では、特定の選手にいつも抑えられたり、あるいは打たれまくったり、というものだ。
今季限りで中日打撃コーチを退任した和田一浩氏は、首脳陣の一員として見ていた、とある選手を恐れていたと明かしている。
「ベンチで見てて、大城が怖くて怖くて。バンテリンでよくホームラン打ったんですよ」
野球解説者・大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉でそう評したのは、巨人・大城卓三のバッティングだった。
「今年は大城の調子が悪くてあんまり出てなかったんで、ホッとしてたんですよ。大城が出てくると『打つぞ、打つぞ、ほら打った。大城ヤベェな』みたいな。岡本(和真)が4番に座ってて、力的には岡本の方が何年も(ホームランを)30本打って、100打点挙げて、はるかに実績のある選手じゃないですか。でも岡本よりも、僕は見てて、大城が怖った。バッターって普通、1打席目が合ってなかったら、だいたい最後まで合わないじゃないですか。大城ってまったくからっきしなのに、急にガーンって打つんですよ」
2024年の大城の本塁打はわずか3本。中日の本拠地バンテリンドームでは0だった。だが2023年は、キャリアハイの16本塁打を記録している。その内訳を見てみると、東京ドーム7本、他球場が9本。うちバンテリンドームでは3本で、東京ドームに次いで打っているのだ。
ちなみに岡本の2023年はというと、こちらもキャリアハイとなる41本塁打で、2年ぶり3度目の本塁打王タイトルを獲得。東京ドーム18本、他球場が23本だった。うちマツダスタジアム7本、横浜スタジアム3本、バンテリンドームは甲子園球場や神宮球場と並ぶ2本で、大城を下回っている。
ところが、こんなデータもある。2023年の大城の打率を球場別で比較すると、甲子園球場3割1分6厘、マツダスタジアム3割3厘、横浜スタジアム2割8分6厘、東京ドーム2割7分3厘、神宮球場2割7分、そしてバンテリンドームは2割1分9厘と、圧倒的にバンテリンドームでは「不調」だったのだが…。
逆に言えばそれが、和田氏が振り返る「急にガーン」が、ことさら恐ろしく思える原因だったのである。
(所ひで/ユーチューブライター)