「2024Jリーグアウォーズ」が12月10日に開催され、ベストイレブンが発表された。優勝したヴィッセル神戸から3名が、2位のサンフレッチェ広島、4位のガンバ大阪、5位の鹿島アントラーズからはそれぞれ2名が選出されたが、3位・町田ゼルビアの受賞者はゼロだった。
今季J1初挑戦の町田は、5月から8月末まで首位を守り続ける快進撃を見せた。それだけに、受賞者がいなかったことで「あらぬ疑い」がかけられることに。サッカーライターが状況を説明する。
「町田は球際の激しさによるファウル数の多さが目立ち、ロングスローのたびにタオルでボールを拭いたり、ペナルティーキックの際にはボールに水をかけるなど、ダーティーなプレーがなにかとクローズアップされました。それでいて、首位争い。この新参者のかつてないタイプの強さが、アンチを急増させたのです。そして今回、ベストイレブンに1人も選ばれなかったことで『さすがに嫌われすぎ』だと…」
選考方法はというと、監督と選手の投票による結果をもとに、得票数上位のDF1名、MF1名、FW1名、右サイド1名、左サイド1名を選出。GKを含むその他の6名は、選考委員が決定する仕組みだ。
とはいえ、町田が相手クラブの選手や監督に嫌われているかといえば、そうではないようで…。
「試合後に対戦したクラブは一様に町田の強さに驚いていたし、球際の激しさは当たり前のこと。監督や選手たちの間で、町田に嫌悪感を示す態度はほとんど見られませんでした」(前出・サッカーライター)
つまり、飛び抜けた選手はいなかったが、チームの総合力で好結果を出したというのが、ベストイレブン該当者なしの、真の理由と考えていい。
だが「あの選手」が残留していれば状況は変わっていたと、前出のサッカーライターは言うのだ。
「前半戦の躍進を支えていたのは、左サイドを駆け抜けたMF平河悠です。リーグ戦は18試合に出場して2ゴールですが、手がつけられないドリブル突破や前線からのハードプレスなど、攻守でスイッチを入れる役割を担い、チャンスを演出した場面は数知れず。すぐに海外のスカウトの目にとまり、7月にはブリストル・シティ(イングランド2部)に期限付きで移籍しました。欧州に早くも溶け込んで、チームの主力として大暴れしています」
平河の穴埋めのために、日本代表のMF相馬勇紀やDF中山雄太らを獲得したが、平河のチームへの貢献度と大きすぎる存在感が浮き彫りになっただけだった。
惜しくも初優勝に届かなかった町田だが、来季こそ「Jリーグアウォーズ」でサポーターに朗報を届けたいところだろう。
(風吹啓太)