現在40カ国で42の組織を持つ欧州最大の血統書登録団体「国際猫連盟(FIFe)」の後援を受け、毎年開催されるのが、世界美猫大会「FIFeワールドショー」である。
昨年は11月2日と3日にノルウェーで開催され、ブラジルのサンパウロ州ソロカバ市の「ディプロ」というオスのペルシャ猫(生後8カ月)が「世界最優秀子猫賞」に選ばれた。
この大会は、世界中の猫愛好家や飼育者が集う最大級のイベントで、参加する猫は様々なカテゴリーとクラスに細分化され、厳しい基準に基づいて評価される。
ディプロは数十年にわたり、ペルシャ猫やエキゾチックショートヘアの育成を手がけるブリーダーのもとで飼われており、専属の獣医やカメラマン、アドバイザー、スタイリストなどがチームでサポート。月に約4000レアル(約10万円)をかけて食事、毛並みケア、健康管理などが徹底的に行われているという。
その甲斐あって、ディプロは毛質や筋肉など見た目の美しさのみならず、性格が穏やかで人懐っこい点も「世界最優秀子猫賞」における総合的評価に結びついたようだ。
このイベントだけでなく、世界各地では毎年、大なり小なり、猫に関するコンテストが行われているが、逆に「世界で最も醜い猫に7万ドル(約1085万円)の値段が付けられた」として話題になったのが、2024年2月にベトナムのホーチミン市で開催された「WCFワールドショー – グローバルキャットチャンピオンシップ」だった。
こちらはベトナム動物保護協会とベトナム猫協会が主催した大規模なコンテストで、世界各地から可愛い猫が参加し、美しさや華やかさなどを競い合う。ところが会場を最も沸かせたのは「世界で最も醜い猫」コンテストだった。
本人、いや本猫には迷惑な話だが、図らずも「世界で最も醜い猫」の称号を得ることになったのは、タイで暮らす「ナオミ」という猫。実はこの猫、かねてからその醜さが、SNSではよく知られる存在だった。満を持して、ホーチミン市にやって来たとのだという。
ベトナム動物保護協会のミー会長はこのイベントを通じ、ベトナムのペット産業発展に貢献したいとする一方、
「猫たちの美しさを競うだけでなく、どんな猫にも愛情を持ち、さらに保護やケアを必要とする猫が今も何千匹もいることを知ってほしい」
としているが、7万ドルの値段がつけられたナオミに「飼い主」が現れたかどうかは定かではない。
(灯倫太郎)