ドジャース入りにあたって、ミゲル・ロハス内野手から「背番号11」を譲り受けた佐々木朗希投手。ドジャースは先日、その佐々木がロハスに「お礼の品」を手渡す様子などを撮影した動画を、球団公式Xで公表した。
ロハスと対面した佐々木は「背番号ありがとうございます」と述べて、笑顔で握手。やや照れた表情で「これは日本の有名なお酒。これは日本の伝統的なガラスのカップで、これで飲むとおいしいです」と説明すると、箱に入った山口県の高級日本酒「獺祭」と「江戸切子」の冷酒グラスを手渡した。
ロハスは「(若手に背番号を譲ることは)当たり前のこと」とした上で、江戸切子の冷酒グラスを手にしながら「色はドジャーブルーだね。美しい」と言ってニッコリ。「(日本酒とグラスは)家にあるバー(ノーヒットノーランを達成したクレイトン・カーショーから贈られたボトルなどが並ぶ棚)に飾っておくよ」と応じてみせた。
一連のシーンはアメリカのみならず、日本のメディアでも「微笑ましい一幕」として紹介された。ただ、今回のパフォーマンスは、ユーモアやウィットという点では「イマイチ」で、「NHKのど自慢」で言えば「鐘ふたつ止まり」だったのではないか。
そこで思い出されるのが、2023年のWBCでチェコ代表のウィイリー・エスカラ内野手に死球を与えてしまった佐々木が後日、エスカラに「コアラのマーチ」や「パイの実」などの「ロッテのお菓子」を大量にプレゼントして詫びを入れた一件だ。
この時、佐々木自身が意図していたかどうかは別として、日本のメディアやファンからは「おいおい、所属球団のお菓子かよ」というツッコミが入り、予期せぬ笑いを誘ったものだ。
このエピソードを生かさぬ手はない。筆者は「今回、佐々木がロッテのお菓子でロハスにドッキリを仕掛けていれば大ウケしたのではないか(笑)」と思っている。
例えば「コアラのマーチ」を1箱、ポケットからやおら取り出し、「例のロッテのお菓子です」と言って、ロハスに手渡す。そしてキョトンとしているロハスに「というのは冗談で」と種明かしして、獺祭と江戸切子を改めて手渡すのだ。全てを理解した後、ロハスは腹を抱えて大笑いしたはずである。
アメリカ人はユーモアを好む。中でもウイットの効いたユーモアは、人間関係や信頼関係を勢い、濃密にする。まさに強力なコミュニケーション・ツールなのだ。
佐々木には一刻も早くドジャースに溶け込んで、全てのメジャーリーガーからリスペクトされる、超一流の選手に成長してもらいたい。
(石森巌)