サッカーJ1リーグが開幕する中、心配していたこと如実に表面化したのは、アビスパ福岡だった。
今季から金明輝監督を迎え、MF見木友哉、MF名古新太郎、DF上島拓巳といった実力者を大量補強。優勝争いに絡める陣容が揃ったが、柏レイソルとの開幕戦を0-1で落とし、黒星発進となった。
初陣の試合内容よりも深刻なのは、観客人数だろう。国立決戦となった東京ヴェルディVS清水エスパルス戦で5万2541人の観客を集めるなど、各地のスタジアムが大観衆で埋まる一方で、福岡のホームゲームは9923人。ベスト電器スタジアム収容人数の半分も埋めることができなかった。
「週末に行われたJ2大分トリニータ、V・ファーレン長崎、サガン鳥栖の九州勢もそれぞれ開幕戦をホームゲームで迎え、1万人以上を集めました。それだけに、アウェーのサポーターが遠くて来なかったなどの言い訳ができない状況にあります」(サッカーライター)
まさかの1万人割れの原因を探れば、やはり「あの問題」の影響があったとされる。
福岡は昨年12月13日に金監督の就任を発表しているが、一部メディアで事前に「来季就任」が報じられると、サポーターとの間に不穏な空気が流れた。
金監督はサガン鳥栖のユースやトップチームの監督を歴任していたが、選手やスタッフへのパワハラが常態化していることが発覚。S級ライセンスからA級への降格処分を受けた。
その後、町田ゼルビアのヘッドコーチに就任。黒田剛監督の参謀として、J1昇格や2024年の3位進出に貢献し、S級のライセンスを再取得している。前出のサッカーライターが解説する。
「町田での実績が評価され、福岡が白羽の矢を立てました。しかし、福岡最大のサポーター団体はクラブ側に慎重な判断を求めるようにと、異例の猛抗議。クラブ側も批判に対し、就任記者会見の場や公式サイト上で説明に追われました。それからキャンプが始まり、特に問題なく新シーズンの船出を迎えたと思われたのですが、開幕戦で1万人割れの結果を見る限り、愛想を尽かしたり、しばらく様子見のサポーターが多いようです」
こうなったら信頼回復のため、快進撃を見せて観客を呼び戻すしか方法はなさそうだ。
(風吹啓太)