「プレモル子ちゃん」と題したCMシリーズを見たことはあるだろうか。これは漫画・アニメ「ちびまる子ちゃん」の20年後という設定の、サントリービール「ザ・プレミアム・モルツ」のCMだ。
第1弾の「再会」篇は、舞台となるニューヨークのバーで、大人になったまる子とたまちゃんが20年ぶりに会うというもの。「まるちゃん!」「たまちゃーん!」と久しぶりの再会を喜ぶ2人と、高級車から颯爽と降りる花輪くんのシーンが続き、ジャズアレンジされた「おどるポンポコリン」のBGMが、お洒落な雰囲気を醸し出すのにひと役買っている。
さらに第2弾の「手紙」篇は、まる子が「ねえ、たまちゃん、これ覚えてる?」と紙の入った瓶を取り出すと、たまちゃんが「タイムカプセル?」と驚く。まる子が「2人で開けようと思ってさ」と瓶の中の紙を開くと「えー!」「同じゃん!」と笑い合う。
このタイムカプセルは、漫画・アニメ「ちびまる子ちゃん」の数ある神回の中でも、特に有名な「たまちゃん大好き」のエピソードによるもの。2人で埋めたタイムカプセルであることは、ファンなら即気付くだろう。
あの時、お互いに宛てて「たまちゃん大好き」「まるちゃん大好き」と書いた手紙に対し、ラストで「ふたりともおんなじことが書いてあるってわかるのは、まだまだ先の20年後です」とト書きにあった通り、20年後のニューヨークで読み合って笑うなんて、実に洒落た演出ではないか。
ところがこのCMが、一部で批判を受けているという。理由はキャスティングだ。「まる子」を広瀬すず、「たまちゃん」を伊藤沙莉、「花輪くん」をオダギリジョーが演じているのだが、この「まる子」と「たまちゃん」に対し「配役が逆だろう」というのだ。
確かに原作の「まる子」は「お笑い好きでちょっとお調子者の明るい女の子」といった愛すべきキャラクター。対する「たまちゃん」は、お父さんがずっと娘の写真を撮っているのも納得な、眼鏡を取るとなかなかの美少女として描かれている。となるとやはり、伊藤がまる子を演じた方がしっくりくるが…。
これはあくまでも想像だが、広瀬がまる子に決まったのは、出身地が静岡県清水市で、原作者のさくらももこと同郷ということもあるのでは。
ちなみに3月以降に放送予定の第3弾は、花輪くんがまる子とたまちゃんに再会する展開だとか。これはもうシリーズを続けてもらって「ちびまる子ちゃん」のキャラクターをどんどん出してほしい。
例えば食いしん坊キャラの「小杉くん」をブラックマヨネーズの小杉が演じるという「そのまんま」なものだけでなく、花輪くんに恋していた「みぎわさん」が成長して綺麗になっているという設定で、北川景子を出してくるとか。
で、「その、みぎわさんを見た花輪くんがあまりの変貌ぶりに唖然とする」なんてシーンはどうだろう。考えただけでワクワクしてしまうのだった。
(堀江南/テレビソムリエ)