1月10日スタートの月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)のヒロイン役に抜擢された女優・伊藤沙莉。9歳から子役として女優活動を続け、「事務所解雇」など苦労も味わったが、その後現在の事務所に所属先が決まった。
まさに“叩き上げの女優”と言える伊藤は、2015年には「大手事務所の女優なら絶対にやらない」(コラムニスト・吉田潮氏)という、同性が恋愛の対象である女性を演じたドラマ「トランジットガールズ」(フジ系)で主演をこなし、17年はNHKの朝ドラ「ひよっこ」への出演で知名度は一躍、全国区となった。
その一方で、同年公開の主演映画「獣道」(サードウィンドウフィルムズ)では果敢に初の脱ぎ姿を解禁した。映画評論家の秋本鉄次氏によれば、義父相手に、路上で自らドレスをズリ下げて、美バストを露わにしたという。最終的には艶系女優として成功する役柄で、きれいごとではない、艶っぽさとバイオレンスが「混在」する作品だが、「抜群の演技力」だったとのことだ。
こうして朝ドラと脱ぎのシーンを並行しつつ、名バイプレイヤーとして活躍の場をどんどん広げていく。
「『獣になれない私たち』(18年、日テレ系)や『これは経費で落ちません!』(19年、NHK)での、主人公の横で映える役柄が印象的でした。『友達になりたい』『一緒に働きたい』と思わせる安心感があるんです。女子高生から都会の会社員、そして田舎のスナックのチーママまで、世代や職業、人柄問わず、幅広い人物を演じられるのは唯一無二。そんな彼女を制作陣が放っておくわけがなく、今後は主演作も増えるでしょうね」(前出・吉田氏)
そんな若手実力派女優の兄は、意外にもお笑いコンビ、オズワルドのツッコミを担当している伊藤俊介だ。
「20年7月に、彼が自身のツイッターに妹とのペアショットを掲載したことで、広く知られるようになりました。昨年4月に行われたオズワルドの単独ライブに伊藤がサプライズ出演するなど、現在も仲がいいようです」(芸能記者)
今でこそ兄妹で大活躍しているが、幼少期は父親不在の複雑な家庭環境で育ち、自著であるエッセイ「【さり】ではなく【さいり】です。」(KADOKAWA)には〈一時期ホームレス化した〉との記述もあるほど。前出の秋本氏によれば、「きれいごとだけではない人生経験が、演技の上で芯の強さにつながっているのでしょう」とのことで、よくありがちな『売れたから脱ぐのをヤメる』ではなく、必然性があれば、いとわず服を脱いでベッドシーンを演じる─そんな「根っからの役者魂」を感じるという。
「まだまだノビシロがありそうで、楽しみです」(秋本氏)の言葉通りに、令和を代表する大女優に上り詰めるのは、そう遠くはなさそうだ。