マリナーズのスプリングキャンプに参加している藤浪晋太郎が、日本時間2月28日のジャイアンツとのオープン戦に登板する。球団発表によれば「リリーフでの1イニング」が予定されているという。この登板の結果次第では、現状のマイナー契約から抜け出して「開幕ロースター入り」の切符をゲットできるかもしれない。現地記者が言う。
「マリナーズは投手層が厚く、昨季はア・リーグトップのチーム防御率3.49をマークしました。生え抜きの若手先発が次々と頭角を現しています」
米メディアが予想する先発ローテーションは、昨季オールスター出場を果たしたローガン・ギルバートを筆頭に、ジョージ・カービー、ブライス・ミラー、成長著しいブライアン・ウー、ベテランのルイス・カスティーヨの5人。ブルペン陣はクローザー候補のアンドレス・ムニョスをはじめ、コリン・スナイダー、さらにタイラー・サウセドとゲイブ・スパイアーの両左腕がいて、昨季71試合に登板したトレント・ソーントン、22歳のトロイ・テイラーも控えている。
救援陣が厚いチーム状況で「開幕ロースター入り」の可能性が伝えられる藤浪だが、その情報を鵜呑みにはできないようだ。
「トミー・ジョン手術からの復帰を目指すマット・ブラッシュ、それとグレゴリー・サントスの故障組がチームに合流してくるのは5月だと伝えられています。それまでの代役として、藤浪が注目されているわけです」(前出・現地記者)
仮に開幕ロースター入りしても、5月には弾き出されてしまうというわけか…。今年31歳の外様よりも、生え抜きの若手が優先される事情は分からなくはないが、開幕から5月までの1カ月余りで好投すれば、他球団が藤浪のトレードを申し込んでくるかもしれない。藤浪にとって「本当のスタートは開幕戦以降」のようだ。
「アメリカで野球をやっていることに喜びを感じており、仮にマイナー落ちでもその環境を楽しんでいる感が見受けられます。昨季、メッツのマイナーチームで長く暮らしていても『折れなかった』のは、アメリカ生活が楽しいと感じていたからです」(メジャー関係者)
故障組が帰還する5月、藤浪の去就はまた騒がれることだろう。その時、阪神の藤川球児監督はどう思うだろうか。日本の球団が身辺調査を始めるかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)