プロ野球では「自前のスタジアム」が当たり前だが、Jリーグではなぜスタジアム建設で「税金」に頼ろうとするのだろうか。
茨城県水戸市の高橋靖市長はサッカーJ2・水戸ホーリーホックの新スタジアム構想について「クラブは水戸の大事な地域資源」としながらも、費用負担については「200億円のハード事業を持ち込むのは市民の理解が全く得られない」と、税金投入を完全否定した。
J2水戸は現在、市が保有する「ケーズデンキスタジアム水戸」を本拠地としているが、収容人数がJ1基準の1万5000人に満たず、新スタジアム建設計画を進めていた。費用は200億円を見込んでおり、自治体の協力の必要性を強調していた。
クラブチームのスタジアム建設をめぐっては、J1湘南ベルマーレと平塚市も建設交渉を続けるも、暗礁に乗り上げている。「費用負担」と「場所」が大きな問題になっているからだ。
プロ野球では2023年に日本ハムの新本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」が完成したが、総工費約600億円は親会社の日本ハムが負担している。野球ファンにしてみれば、サッカーはなぜ税金を頼ろうとするのか、不思議でならないだろう。
水戸の問題を受けて、タイムラインには「地域貢献どころか税金チューチューが目的じゃないか」「そもそもJリーグが規定を変えないのが悪い」「エスコンや長崎ピーススタジアム見習え。今やハコだけ作るだけじゃ成立しない」などと、厳しい声が相次いでいる。
Jリーグではクラブライセンス交付規則において、施設基準を定めている。J1であれば主管公式試合を1万5000人以上、J2であれば1万人以上の入場可能数を確保することなど、複数の項目をクリアしなければライセンスが交付されない。そのため近年は、施設基準のクリアを目的に、各地で専用スタジアム整備の話が進んでいるが、行政の負担の大きさによって計画が滞る例が少なくない。
プロ野球ではエスコンの600億円は別格ながら、マツダスタジアムはわずか90億円で建設されている。J2の水戸が200億円を計上していることに、違和感を覚える野球ファンが続出するのは当然だろう。
(ケン高田)