例年よりも長く、寒さが厳しく感じられた冬もようやく終わり、日増しに春の足音が強くなってきていますね。そんな時期こそ、用心してほしいのが「冬バテ」です。
「え? 夏バテならわかるけど、冬バテなんて聞いたことがないぞ」という方も多いかもしれませんが、実は冬にも寒い季節に独特の疲れ方や体調不良などがあり、最近はそれを「冬バテ」と呼ぶようになっています。
「冬バテ」は、当事者が気がつかないことも多く、そのまま放っておけば、夏バテよりも深刻なことになる可能性が高いのです。なぜなら、「夏バテ」の場合は、秋になると冬に向かって体が休もうとするので、涼しくなれば元気になることが多いのですが、「冬バテ」の場合、春になってもなかなか症状が改善しないからです。
というのも、春は暖かくなるため何事にも活動的になることが多いですし、職場の配置換えなどのストレスにもさらされやすい時期です。したがって、春は体が休もうとはしないので、疲れが取れにくいのです。
加えて、冬場の特に年末年始はイベントが多く、忙しくてもつい無理をしがちです。宴会などで飲食する機会も多いので、内臓にかかる負担も夏より冬のほうが大きいと言えるでしょう。
そうした現代人の生活習慣による疲れの要因がいくつも重なることにより、活動モードの交感神経ばかりを働かせ、休息モードの副交感神経を働かせる機会が少なくなります。心身がいつも緊張状態なので休まらず、疲れを取ることができません。だからこそ、春へと向かうこの時期、原因不明の体調悪化があれば、「冬バテ」を疑うべきなのです。
◆監修 森田豊(もりた・ゆたか) 医師・医療ジャーナリスト・医学博士。レギュラー番組「バイキング」(フジテレビ系)など多数。ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修も務めた。