負け続けることによって話題を呼んだ、競走馬・ハルウララ。そのハルウララの連敗記録に今、並ぶのではないかと一部ファンの間で注目されている馬がいるという。
話題の馬がいるのは、ここ5年連続で過去最高売り上げを記録して盛り上がる佐賀競馬だ。その馬の名前は「パドマーワト」という7歳の牝馬で、インド神話の女神に由来するというから神々しい。彼女が注目を集めるきっかけとなったのは、今年3月22日のXでの投稿だった。佐賀競馬・広報担当者が語る。
「お客様から提供していただいた情報により、パドマーワトが111連敗していることを知り、ハルウララの〝記録〟に迫っていることをアップしたのです」
ハルウララの熱狂は、競馬ファンのみならずとも知らない人は少ないはず。ちなみに連敗の記録というなら200連敗以上した馬もいるので、目新しいというわけではないのだが、やはりハルウララの記録は、競馬ファンにとって一種の指標になっているのだろう。
そんなパドマーワトとはいったいどんな馬なのか。調教を担当する柳井宏之調教師に話を聞いた。
「もともとは門別(競馬場・北海道)で走っていた馬で、2歳の時から私が担当するようになりました。確かに、賞金が増えていない分、クラスが上がらないというのはあります。しかし、タイムオーバー(1着の馬から一定のタイムを過ぎた場合、ペナルティを受ける)というのはない。今まで中央の未勝利馬とも戦ってきましたが、そういうことはありません」
つまり、まったく勝てそうにない馬、というわけではないのだ。ではいったい、未勝利の原因はどこにあるのだろうか。
「性格的にはビビり。ちょっとした音にも入れ込んだり、興奮したりする。まあ、年齢を重ねてだいぶよくはなりましたが。走り自体も昔のようにはいかないこともありますが、スタートが上手で短距離の場合だと、3コーナーくらいまでは先頭に立つことも多い。しかし、前に立つとバテてしまう。逆に長距離の場合、後ろから走ってうまく差すんだけど、他の馬に勝ち切るところまではいかない」(前出・柳井師)
要するに頑張って走るのだが、勝利には届かないということか。最近でも「3着に鼻差の4着もあった」というのだから、何とももどかしい。
「ただ、パドマーワトには熱心なファンもいてくれて、パドックでは自前のうちわなどで応援をしてくれる人もいる。確かに勝ててはいないですが、大きな故障もなく、いつでもしっかりと走ってくれる。そういった意味では無事これ名馬、とも言えるのではないでしょうか(笑)」(前出・柳井師)
勝利には届かずとも、勝負はできていつでも走れる‥‥。不思議な魅力がある馬・パドマーワトは次戦にも出馬予定だという。このままハルウララの記録に迫っていくのか。それとも見事初勝利をつかむのか。熱い勝負に注目だ。