春の中山、阪神開催は4月20日をもって終了。その最終週のメインは牡馬クラシック第1弾・皐月賞だ。
本場の欧州とは違ってマイル戦ではなく、芝の2000メートル戦。なので、このあとのダービーに結びつくことも多い。
03年に馬単が導入されて以降の22年間を振り返ってみても、03年ネオユニヴァース、05年ディープインパクト、06年メイショウサムソン、11年オルフェーヴル、15年ドゥラメンテ、20年コントレイルが春の二冠を制している。
この他にも04年ダイワメジャー、10年ヴィクトワールピサ、12年ゴールドシップなど、皐月賞馬に輝き、年齢を重ねてからも活躍し続けて競馬史に名を残した馬も少なくない。つまり、ただ単に早熟ではなく、ノビシロ十分な馬を探り当てることが、馬券戦術での第一義となるのだ。
今年もなかなかの素質馬ぞろいで、顔ぶれはいい。トライアルの弥生賞1〜4着馬、同じくスプリングSの1〜4着馬、そして若葉Sの1〜2着馬は言うに及ばず、共同通信社杯の1〜2着馬に、3戦無敗のエリキングとクロワデュノールなど枚挙にいとまがない。
とにかく、見応えある競馬が繰り広げられることは間違いあるまい。
まずはデータを見てみよう。過去22年間で馬単での万馬券は8回(馬連は6回)。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)。2番人気馬は4勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。2番人気馬が連対を果たした時は比較的堅く収まるが、波乱になるケースも多く、中穴傾向で難解なGⅠ戦と言えるだろう。
そうした傾向を踏まえ、勝ち負けする馬を炙り出してみたい。穴党として最も期待を寄せたいのは、ドラゴンブーストだ。
前走の京成杯(7番人気)でも狙ったのだが、惜しくも2着。仕掛けが少し早かったのが裏目に出た格好だった。とはいえ、3角手前から徐々に進出して直線の入り口では先団に。実にレースセンスがあり、しぶとい走りは、多頭数の混戦競馬にピッタリである。
今回はその京成杯以来、3カ月ぶりの実戦になるが、短期放牧でリフレッシュ。ここを目標に寸分の狂いもなく、しっかりと調整されてきており、1週前の追い切りも実にリズミカルで軽快だった。
「体質が強くなって、思いどおりの稽古ができるようになっている。重め感はなくいい雰囲気。とにかく順調です」
こう藤野調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえて状態のよさを強調するほどだ。
一族、近親に超一流と言える活躍馬はいないが、代々、名種牡馬を交配してきたことが血統的に功を奏したのだろう。とにかく勝負根性がある馬であることは特筆していい。
デビューから4戦続けてマイル戦に固執していたが、父がスクリーンヒーロー(ジャパンカップ)で、母の父がエンパイアメーカー(ベルモントS=12ハロン=などGⅠ3勝)。前走の京成杯で距離を2000メートルに延ばしたのは、正解だったと言えよう。
「ひと雨あれば、さらにいい」とは前走、手綱を取った丹内騎手の弁。
現在(4月6日終了時点)28勝を挙げ、全国リーディング6位と勢いのある丹内騎手とのコンビも強み。晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。