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新日本プロレスVS全日本プロレス<仁義なき50年闘争史>「コロナ後に全日本に新日本の主力が続々参戦!」

 2020年は新型コロナウイルス感染症拡大により世界が変わり、スポーツエンターテインメントのプロレスもコロナ禍によって大打撃を受けた。

 新日本プロレスは2月26日の沖縄県立武道館大会を最後に、6月15日にオフィシャルサイト「新日本プロレスワールド」で配信した会場非公表の無観客試合まで53大会を中止。翌16日から春の恒例イベント「ニュージャパンカップ2020」(以下、NJC)を無観客で開催してオフィシャルサイト、テレビ朝日のCSチャンネル、サムライTVで放映する措置を講じた。有観客興行が再開されたのは、EVILがオカダ・カズチカを撃破してNJCに初優勝した7月11日の大阪城ホール大会からだ。

 全日本プロレスも新日本と同じく、2月26日の新木場大会を最後に興行自粛。3月シリーズは諏訪魔が宮原健斗から三冠ヘビー級王座を奪取した23日の後楽園ホール大会だけ観客を入れて開催したが、3月シリーズは中止、4月の「チャンピオン・カーニバル」は9月に延期した。無観客試合を4月に2大会、5月と6月にそれぞれ4大会開催してオフィシャルサイト「全日本プロレスTV」、GAORAスポーツ、サムライTVで放映し、有観客興行の再開は7月18日の千葉・2AWスクエア大会だ。

 その後も会場の収容人数制限、観客の声出しや飲食の禁止などの様々な制約があり、プロレス団体にとって苦しい時期が続いた。

 後楽園ホールの収容人数の制限が解けたのは22年2月。その2カ月後の4月15&16日に同所で開催された「後楽園ホール60周年還暦祭」は大盛況。特に「50周年 新日本プロレス+全日本プロレス」のサブタイトルが付いた16日大会は、超満員札止めの1588人を動員した。コロナ禍では感染リスクからプロレスの団体間の選手の交流が途絶えていただけに、老舗2団体の共演にファンは狂喜。メインイベントでは棚橋弘至と宮原健斗がコンビを結成し、タイチ&ジェイク・リーと30分時間切れ引き分けの熱闘を展開した。

 1カ月半後の5月31日に同所で開催された「ジャンボ鶴田追善興行」では永田裕志と諏訪魔のコンビが実現、これを契機に永田は23年8月まで全日本にレギュラー参戦することになる。

 全日本は新日本、プロレスリング・ノアの選手を積極的に上げていく。

 6月19日の大田区総合体育館でのビッグマッチでは、タイガーマスクが佐藤光留から世界ジュニア・ヘビー級王座を奪取して9月18日の日本武道館で青柳亮生に敗れるまで参戦。9.18日本武道館には、タイガーマスクの世界ジュニア防衛戦以外にも、永田が大型ルーキーの安齊勇馬のデビュー戦の相手を務め、ノアからは征矢学が参戦して大森隆男とのゲットワイルドを復活させるなど、新日本&ノアのアシストを受けて18年7カ月ぶりの聖地での興行を成功させることができた。

 10.25後楽園にはヤングライオンの中島佑斗、大岩陵平、藤田晃生が初参戦して、永田とのカルテットで宮原&安齊&野村直矢&井上凌に勝利。ヤングライオン3人は、その後も全日本に3回参戦している。

 23年に入ると全日本2.19後楽園で鷹木信悟VS安齊が実現。この日のメインで宮原を下して三冠ヘビー級王座を奪取した永田は、佐々木健介、高山善廣、武藤敬司、小島聡に次ぐ史上5人目の3大メジャー(IWGP、三冠、GHC)制覇を達成した。

 3月1日には新日本の高橋ヒロムのプロデュースによる「ジュニア夢の祭典」が後楽園で開催されて、全日本から青柳亮生が参戦してマスター・ワトと対戦。ヒロムはそのお返しに、全日本9.3長岡でライジングHAYATOと戦った。

 4月の「チャンピオン・カーニバル」には、前年6月のノアでGHCヘビー級王者になって健在ぶりを見せた小島聡が参戦。優勝はならなかったものの、9月の「王道トーナメント」では見事に優勝を果たした。

 その他、全日本にはノアから拳王&征矢が上がって世界タッグ王座を奪取。その結果、三冠王座は新日本の永田、世界タッグ王座はノアの拳王&征矢に奪われるという事態に陥った。

 それは新日本が2000年代前半に、他団体やフリーの大物を次々に招いては負け続けて“土下座外交”と呼ばれた暗黒時代を連想させるものもあったが、13年からの度重なる体制変更でパワーが落ちていた全日本は新日本、ノアと絡むことで所属選手の知名度を上げることが最優先だった。

 新日本もノアも23年いっぱいで全日本から撤退したが、デビュー戦で永田の胸を借り、鷹木、内藤哲也、棚橋といった新日本のトップ、潮崎豪、清宮海斗らのノアのトップと次々に対戦するという濃密な経験を積んだ安齊が、24年3.30大田区でキャリア1年半、24歳10カ月の史上最年少で三冠ヘビー級王者になった。

 積極的な外交策は24年に安齊という新たなスターを生み、全日本は新世代の時代に突入したのである。

小佐野景浩(おさの・かげひろ)元「週刊ゴング編集長」として数多くの団体・選手を取材・執筆。テレビなどコメンテーターとしても活躍。著書に「プロレス秘史」(徳間書店)がある。

写真・山内猛

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