新日本プロレスの「新しい顔」が、厳しい船出を迎えている。
2.11大阪大会で、ザック・セイバーJr.の持つIWGP世界ヘビー級王座に、後藤洋央紀が挑戦。これまで前身のIWGPヘビー級王座の時から数えて8度の挑戦も実らず、高い壁に苦杯を舐めてきたが、45歳にして初めてチャンピンを倒し、団体最高峰のベルトを手中に収めた。
試合後のバックステージではさっそく、次の挑戦者に社長の棚橋弘至を指名した。すると大ベテランの永田裕志が後藤の前に現れ、ベルトへの挑戦を表明。棚橋に勝ったあとに戦うことを受諾した。こうした流れに、ファンはどこか困惑を隠せないようで、
「後藤、棚橋、永田といえば、いわゆる『暗黒時代』の新日を支えてきた功労者。後藤が王者になるや、まるでリバイバルブームのようにベテランが次々と登場し、オールドファンは胸アツな展開になっています。その一方で2011年にオカダ・カズチカ(現AEW)が凱旋帰国してから、団体に金の雨を降らせていっそう盛り上げました。それ以降にファンになった『プ女子』からすれば、試合に感情移入しづらく、どうやって見たらいいのか戸惑っているのです」(スポーツライター)
事実、3月6日にメインイベントが行われる後藤VS棚橋の初防衛戦チケットの売れ行きに、影響が出ている。2月29日時点でロイヤルシートとアリーナ席、2FスタンドD席は完売しているのだが、1FスタンドA、2FスタンドB、2FスタンドCは売れ残っている。
「3.6大田区総合体育館(東京)は、新日にとって大切な『旗揚げ記念日』です。平日か休日かを問わず毎年、メインはワクワクするようなビッグカードが用意され、チケットは争奪戦になりました。それだけに、ファンが本当に見たいカードだったのか、疑問が残るところ。せめて後藤がベルトを獲った直後に、勢いのある新世代組が名乗りを上げてほしい気持ちがあったのかもしれません」(前出・スポーツライター)
2.11大阪大会は満員御礼で大盛況だっただけに、防衛ロードでの急ブレーキは避けたいところだが…。
(海原牧人)