今年もタイ全土で開催された「ソンクラーン(水かけ祭り)」は毎年、世界中の観光客で賑わうイベントだ(写真はチェンマイでの祭りの様子)。祭りの本番は4月13日から15日だったが、バンコクから南東へ約160キロのリゾート地パタヤでは、最終日の「ワンライ」と呼ばれる行事が特に激しく、街全体が水しぶきに包まれた。
ところが、だ。今年のソンクラーン2025では発砲事件、刺殺事件、交通事故といった深刻なトラブルが相次いで発生。楽しいはずの祭りが一転して、危険な状況へと陥った。旅行者にとっては、旅を安全に楽しむための「自衛意識」が欠かせない。
バンコク市内のイベント会場では発砲事件が発生し、20代の男性が死亡した。観光客が数多く集まっていた場所での出来事であり、人が密集する環境ではいつどこでトラブルが起きても不思議ではない。会場では非常口の場所を事前に確認し、混雑時には無理に近づかない。違和感を覚えたらスマートフォンを向けるのではなく、すぐに距離をとる判断が命を守るのだ。
タイ南部ではイベント中に乱闘が発生し、死傷者が出た。酒が入った集団や、ローカル色の強い夜間イベントでは特に注意が必要だ。可能であれば現地ガイドを同行させるか、複数人で行動したい。滞在中はSNSや在タイ日本大使館の公式サイトを通じて、最新の治安情報をチェックしておくことも重要となる。
ソンクラーン期間中には交通事故も多発し、わずか3日間で100人以上が死亡した。主な原因は飲酒運転やスピード違反、無免許運転だ。バイクタクシーの利用はできるだけ避け、配車アプリを使って信頼できるドライバーを選ぶようにしたい。後部座席でもシートベルトは必ず着用し、深夜・早朝の移動はなるべく控えた方がいいだろう。
旅先ではつい気分が高揚し、警戒心が薄れがちになる。しかし、特に家族やパートナーと訪れる旅行では自分だけでなく、大切な人を守る視点が求められる。安全な旅を実現させるべく「最悪を想定して備える」姿勢を常に持ちたい。