近年、沖縄県内で家賃の上昇が続いており、特に飲食店やナイトスポットなどの店舗経営にも静かに影響が広がっている。
背景には全国的な物価高の影響がある。氷や水、酒といった営業に必要な物の仕入れ価格が上がり、家賃と合わせてコストは増す一方だ。さらに「ジャングリア沖縄」のような大型レジャー施設の建設が進む中、観光資源の強化によって地価が上昇し、周辺の家賃に波及している。
加えて、中国を中心とした海外投資家による不動産購入が活発化し、住宅・商業物件の需要が高まったことが、家賃高騰に拍車をかけている。県内でスナックを経営する女性は、次のように語るのだ。
「ここ2、3年で家賃が1.2倍以上になりました。水道光熱費や酒の仕入れ値が上がっているのに、セット料金は簡単には変えられません。お客さんの財布事情もありますからね…」
同じエリアでラウンジを営む女性は従業員の待遇について、
「女の子たちの給料はほとんど据え置きです。少しでも下げようものなら、すぐに他の店に行かれてしまいますし、そもそも人手が足りない状況なので、経営側が踏ん張るしかありません。今はなんとかやれてるけど、このまま物価が上がり続ければ、閉めざるをえない店が出てくると思いますよ」
こうして家賃と物価の上昇が続く中、価格転嫁が難しいという構造的な課題を抱えている。経営者にとっては利益を確保するどころか、維持するだけでも苦労は増すばかり…というのが実情だ。
夜の街は沖縄観光においても地域住民にとっても、欠かせない存在。しかしこのまま状況が続けば、今後は営業を続けることが難しい店舗が出てくることになる。
沖縄の夜のにぎわいを守るためには店側の努力だけでなく、業界や地域全体での支援やアイデアが求められるだろう。
(カワノアユミ)