錯綜する米軍普天間基地の辺野古移設。地元の名護市では反対派市長が再選を果たし、国と地方の“ねじれ”がまたも発生した。沖縄の民意を無視すべきなのか!? 日米関係を悪化させてもいいのか!? この難題に答えを出すべく、俊英の論客4人に専門的見地から“剛腕”を振るってもらった。この独自解決策を耳を澄ませて聞け!
13年12月25日、沖縄県宜野湾市にあるアメリカ軍普天間基地の移設に向け、安倍晋三総理(59)と仲井真弘多〈なかいまひろかず〉沖縄県知事(74)が会談を行った。政治部記者が背景を語る。
「その3日前の22日、検査入院の目的で上京した仲井真氏と菅義偉官房長官(65)、石破茂幹事長(56)が都内で会談を行いました。その席で、基地の移設先である名護市辺野古沖の埋め立て工事認可の約束を取り付け、総理との会談の下地を作ったようです」
この流れもあり、総理と会った仲井真氏は、埋め立て認可の方針を打ち出した。迷走した移設問題は実現に向け大きな一歩を踏んだかに見えたのだが‥‥。
「仲井真氏は、知事になるにあたって普天間の県外移設を公約にしていました。公約をホゴにした方針転換に県議会は揺れ、1月10日には、知事の辞任要求決議が可決されました」(前出・政治部記者)
もちろん、この決議に法的な拘束力はなく、仲井真氏は辞任を拒否している状況だ。しかし1月20日、今度は移転先である名護市の市長選が行われた。選挙は、移転反対の立場を取る稲嶺進市長と、賛成派の候補が真っ向からぶつかる戦いとなったのだ。
「4000票の差でしたが、反対派の稲嶺市長が勝ちました。安倍総理は5年以内の移設完了を目指していますが、市長が道路使用許可などを出さなければ、当然、工事が遅れることになります」(前出・政治部記者)
この遅延で問題となるのは、アメリカとの関係である。そもそも普天間基地移設は、96年の橋本龍太郎政権時に、日本からお願いする形でアメリカに基地用地の返還が請求された経緯がある。
「請求以降、移設先候補地や工事方法が検討され、移設は現実味を帯びてきたのです。ところが、09年民主党の鳩山政権が成立すると、それまでの流れは一転します。鳩山氏は『最低でも県外』との方針を打ち出したのです。振り回された沖縄の有権者は『県外移設』を望むようになり、何よりこのことで、アメリカとの関係は一気に冷えてしまった。日米関係のヒビにつけ込むように、中国が虎視眈々と尖閣を狙うようになりました」(前出・政治部記者)
国と市のねじれが、日本の安全保障にまで及びかねない重大な事態。4人の論客が語る解決策とはいかなるものか──。