普天間基地の県外移設ですが、机上の空論と言えるでしょう。普天間の飛行場にあるオスプレイに乗る人、積むもの、それらを補給する部隊、それらの人が主に訓練をする場所は、現在、全て沖縄にあります。例えばそういうものを全部まるごとパッケージでどこかに移設することが成り立つならば、必ずしも基地が沖縄の普天間にある必要はないと言えます。
つまり、普天間基地は単体で機能しているのではなく、沖縄県内の多くの設備と連動している機能の一部で、それだけを県外に移すことはできないのです。
名護市長選の影響で移設が遅れるといいますが、最初の96年合意では、今年14年には移設が完了しているはずでした。現状ではひっくり返っても無理ですから、当初合意した前提からはすでに遅れています。
この状況にあって、今回安倍さんが沖縄に約束している5年で運用するという話のほうが日米の信頼関係にヒビが入るリスクが高いと思います。なぜなら辺野古移設も7年くらいの時間がかかると予測されており、5年以内の移設完了は、現実的なものではないからです。日米両者の間にすきま風が流れると、周辺諸国に間違ったメッセージを伝えることになります。例えば中国なんかがそこにつけ込んでくるということです。
私は、今後は自衛隊が「矛」つまり攻撃力の役割も担うべきで、それ以外に沖縄の負担軽減と抑止力維持を両立させる解決策はないと考えています。現状では「矛」の部分をアメリカ様にお願いしているわけです。中核としてのアメリカの空母打撃群と、普天間を含めた海兵隊の戦力が現在日本の「矛」になっています。
ものすごく単純に言えば、自衛隊を海兵隊にしてしまうということができるのであれば、アメリカの海兵隊が沖縄に常駐している必要性はゼロに近づいていきます。自民党の石破幹事長の、「日本でできることは日本でする。自衛隊でできることは自衛隊でする」という発言はまさに「矛」の役割を持つことを象徴しています。そうした努力の方向性の中で沖縄の負担軽減も図られていくということですね。
すでに中期防衛力整備計画で、自衛隊は現在アメリカ海兵隊が使っているAAV7(水陸両用車)やオスプレイを導入することが決まっています。そうなれば、オスプレイが普天間にある必要性も少なくなります。また、これは自衛隊の海兵隊化に向けた動きと言っても過言ではないのです。水陸両用作戦機能と呼ばれるのですが、自衛隊に海兵隊的な機能を担わせることについて、日本政府は公式に決めており、そのための整備計画もできていて、あとは予算が国会を通れば決まるということです。
自衛隊が攻撃力を上げる流れにあることは間違いありません。