4連勝で3位に浮上した浦和レッズ。その強さは本物か。
浦和は昨夏、2023年にACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)優勝に導いたマチェイ・スコルジャ氏を監督に復帰させた。さらに今季はMFマテウス・サヴィオ(柏レイソル)、DFダニーロ・ボザ(ECジュベントゥージ)、MF金子拓郎(コルトレイク)らの大型補強に成功した。
その理由は、今季の最初の目標である、6月開催のクラブ・ワールドカップに出場するからだ。現に開幕戦は昨季に比べて先発が5人も入れ替わっており、完全に新しいチームとしてスタートしている。クラブ・ワールドカップまでのチーム作りが始まったのだ。
5人も入れ替われば、チームを作るのに時間がかかる。開幕から4試合、勝利なし。それもある程度は想定内だったのかもしれない。それがここにきて4連勝したのは、新戦力がチームにフィットしてきたこと、さらにチームの方向性が決まってきたことにある。
ダニーロ・ボザは、センターバックを組むマリウス・ホイブラーテンとのコンビネーションがよくなり、安定感を増してきた。守備のみならずヘディングが強く、セットプレーからの得点が期待できる。マテウス・サヴィオは柏時代に見せてきた、相手に脅威を与える攻撃的なパフォーマンスで、攻撃の中心になってきた。金子も4月25日のサンフレッチェ広島戦で、移籍後初ゴール決めている。
新戦力だけではない。ボランチのサミュエル・グスタフソンのプレーに変化が出てきたのも大きい。マティアス・ヘグモ前監督が連れてきた選手で、パスセンスはあるが運動量はないし、動かない。昔タイプのボランチで、ハードワークと守備力を求めるスコルジャ監督の戦術には合わない。だから、先発を外れることが多かった。
それが4月9日に、スコルジャ監督と30分以上にわたって議論する姿が目撃された。これ以降、先発に復帰すると、守備を積極的にこなすだけでなく、パスを出してからも動き出し、チャンスとみれば前線まで攻め上がるようになった。
チームがいい方向へと、歯車が回り出した。ただ、今の浦和のサッカーは、しっかり守ってカウンターという、あくまで格上相手に戦うクラブ・ワールドカップ用の戦術である。スコルジャ監督は2023年に就任わずか4カ月で堅守速攻のチームを作り、格上とみられていたアル・ヒラルを破って優勝した。あの時の再現というか、クラブ・ワールドカップでもインパクトのある結果を残したい、という思いがあるのだろう。
ただ、ACLとクラブ・ワールドカップではレベルが違う。そう簡単に結果が出るとは思えない。
浦和は本当に強くなるかどうか、それはクラブ・ワールドカップが終わってからだ。今は守ってカウンターのサッカーが主体だが、クラブ・ワールドカップ後は攻撃のバリエーションを増やしていかなと、Jリーグを勝ち抜けない。100億円クラブとして、どこまで違いを見せられるか。フロントの力が求められる。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。