今夏、活発に行われているJリーグの補強。その中でも注目されるのは浦和レッズだ。
FCバルセロナBから安部裕葵、さらにアンタルヤスポル(トルコ)から中島翔哉と、元日本代表のMF2人を獲得した。
その理由は課題と言われる決定力のなさを解消するためだろう。
安部は東京五輪のエースとして期待された逸材だったが、バルセロナBに移籍してからは度重なるケガで、ここ2シーズンは選手登録外で公式戦に出場していない。それでも獲得したのは、常に安部の状況をチェックしてきたこと。それで契約が切れたこのタイミングで獲得に動いた。安部の現状を把握したうえでチームの戦力になると確認しての補強だ。
安部に求められることは、フィニッシュに至る最後の仕事。ペナルティ・エリア近くでのアイデア溢れるプレーに期待している。
問題は中島。FC東京からポルティモネンセに移籍した1年目、10得点12アシストを記録し、森保ジャパンでは背番号10を付け攻撃の中心となっていた。
それが代理人のサッカービジネスに巻き込まれ、中東とポルトガルのクラブを行ったり来たり。ついには代表からも外された。昨季はトルコリーグでプレーしたものの無得点。現在、彼がどういう状況なのかもわからない。
左サイドでの仕掛け、決定力に定評があったが、全盛期にどこまで戻っているかは全くの未知数。
浦和としては、この2人の加入で攻撃力を高めるだけでなく、秋からの過密日程に備えて選手層を厚くしたいという狙いがあるのだろう。
ただ、Jリーグの上位2チームに比べて劣っている部分がある。それがヴィッセル神戸の大迫勇也、横浜F・マリノスのアンデルソン・ロペスと絶対的なストライカーの不在。首位・神戸との勝ち点差は7、得失点差は15の差がある。それを縮めるには点取り屋のFWは必要。
浦和のFWアレックス・シャルクは、ホセ・カンテ、興梠に次ぐ3番手のFWであり、ブライアン・リンセンは左サイドで使われるようになり、スコルジャ監督の中でも優先順位は低く、2人とも欧州復帰の噂がある。ならば、新たに点が取れる外国人FWを獲得するべきではないか。
Jリーグの夏の移籍期間は8月18日まで。それまでに新たな補強はあるのか。ACL、Jリーグの2冠を狙うのなら動くべきだ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。