傑作恋愛ミステリーを原作にした主演映画「イニシエーション・ラブ」が6月最終週時点で興行収益12億1000万円を記録。2013年の主演映画「クロユリ団地」の10億2000万円に続き2作目の大台突破となり、前田敦子株が映画業界で急騰している。
アニメやディズニーしか勝てない現在の映画界で、同一女優が主演映画で2作も10億円の大台に乗せるのは至難の業だ。最近では「ストロボ・エッジ」(22億8000万円)&「ビリギャル」(26億1000万円)の有村架純しか見当たらなかった。綾瀬はるか、長澤まさみ、能年玲奈にも出来なかった快挙だけに前田株が急騰するのもうなずける
とくに彼女の場合は、「クロユリ団地」が最近では大ヒットの望めないホラー、「イニシエーション・ラブ」が頭を使う女性向けミステリーで、どちらも「客を選ぶ題材」でありながらの好成績という背景も評価に繋がっている。しかし、実際に「イニシエーション・ラブ」の繭子役は前田だったからこそ成り立ったと思わせるドンピシャぶり。辛口評論家の前田有一氏も「なかなか」と褒めた観客をミスリードする後半の演技は上々で、これには「AKB48に女優は無理」と言っていたアンチたちもギャフンと言わざるをえなかったはず。
いまや元AKB48の肩書きも必要ないほどのスクリーンでの存在感。トヨタのCMでまさかのジャイ子を演じたり、7月にスタートする実写版ドラマ「ど根性ガエル」(日本テレビ系)ではヒロインの京子役に抜擢されているが、不安より楽しみが大きいというのが業界の声だ。
脚本家や監督が「この役は前田敦子にやらせたら面白い」と思わせるルックスと個性が、今後ますます威力を発揮するかもしれない。
(藤田まさし)