今週は福島で「七夕賞」が行われるが、3年連続で2桁人気馬が馬券に絡み、3連単の配当は12万、31万、59万と荒れ模様。今年も一筋縄では収まりそうもない。一方、中京の「プロキオンS」は、比較的堅めの傾向。
今週のメインは、みちのく福島の名物レース、七夕賞である。
サマー2000シリーズの皮切りで、高額ボーナスを手中にすべく役者がそろった。朝日杯FS勝ちのアルフレードを筆頭に、海外遠征経験があるトウケイヘイロー(GI香港C2着)、そして昨年の覇者メイショウナルトといったところだが、いずれも一息入ったあと。持てる力をフルに発揮できるのかどうか、微妙と言わざるをえない。
荒れる重賞としてのイメージが強く、馬単が導入された02年以降、その馬単での万馬券は6回を数える。この間、1番人気に応えて勝った馬は3頭。2着も3頭で、2番人気馬は2着が2回あるのみ。ハンデ戦でもあり、人気どおり簡単に決まらない重賞と言っていいだろう。
つまり、実績だけをうのみにしてはいけないということだが、はっきりしているのは充実期にある5歳、6歳馬が圧倒的に強いということだ(5歳馬が5勝、2着5回。6歳馬は6勝、2着3回)。
では、ハンデを見てみようか。これも02年以降だが、重い斤量を背負った馬がよく連に絡んでいる。57キロ馬が最も多く4勝(2着1回)。続いて56キロ馬の3勝(2着2回)。それ以上の57.5キロ馬は2着2回、58キロ馬は1勝(2着1回)。これは意外だが、ローテーションがよく、いい状態を維持している実績、実力馬はハンデを背負っていても軽く見るべきではないということだろう。
それからもう1つ言えることは牝馬の善戦だ。牝馬が暑さに強いことは知られているが、牡馬の中に入ればハンデも軽くなり、このあたりが影響してのこと。要注意だ。
それでは前述したもろもろの傾向、特徴を踏まえて勝ち馬をあぶり出してみようか。浮かび上がる馬は有力候補の1頭レコンダイトなど何頭かいるが、中でも最も期待を寄せてみたいのは、マイネルディーンだ。
前走の新潟大賞典6着のあと、ここ目標にたっぷりと乗り込んで臨戦態勢はキッチリと整っている。1週前の追い切りは軽快かつリズミカル。スカッと締まった好馬体で、とても前走から2カ月も間が開いていたとは思えない好仕上がりにある。
「間隔を置いたのは当初の予定どおり。短期放牧を挟んでリフレッシュできており、とにかく雰囲気がいい。思いどおりに仕上がった」
こう言って状態のよさを強調するのは鹿戸雄調教師だが、間隔を空けたのは陣営にとっては計算ずくのことだろう。なぜなら、鉄砲駆けが利く馬だからだ。
デビュー戦を含め、間隔を置いた際は【2】【6】【1】【3】【1】着と抜群の好成績を誇っている。一語で気がいいタイプということだが、さらに平坦コース、特に福島との相性が〈1 0 2 0〉と実にいいのだ。ならば、この馬にとっては狙っていた重賞と言っていい。
前走の新潟大賞典が54キロで、勝ち馬とコンマ3秒差の6着だったことを思うと、ハンデは据え置きか、うまくいくと53キロ。まさに走れる条件がそろっている。近親、一族にムービースター(中山記念など重賞4勝)など活躍馬が多くいる良血。極悪馬場にならないかぎり、好走必至と見て間違いない。
“一発”はフィロパトールだ。こちらは強調した夏に強い牝馬。まさに“紅一点”の存在で、目が離せない。休み明けを使われて3戦目。上り調子のうえ、福島は〈3 1 2 4〉と、めっぽう得意としている。ハンデは恐らく51~52キロ。走りっぷりから道悪になっても大丈夫そう。大勢逆転もあっていい。
◆アサヒ芸能7/7発売(7/16号)より