今週末に行われる「新潟2歳S」は、近年クラシックで活躍する馬を輩出する、まさに出世レース。来年のクラシック戦線を占ううえでも注目の一戦だ。一方、札幌の「キーンランドC」は、天才・武豊騎手の復帰即Vも!?
今週のメインは、新潟2歳S。今年も20頭以上がエントリーすると見られており、フルゲート必至(18頭)だ。それにしても昨年はすごかった。ハープスターの圧勝に終わったが、以後のこの馬の活躍はすばらしく、桜花賞を制し、オークスは2着惜敗だった。そして昨年2着に敗れたイスラボニータも皐月賞馬に輝いている。
近年、ここで勝ち負けした馬はクラシック戦線に乗ることが多く、見逃せない重賞となった。距離がマイル戦(以前は7ハロン戦)に延びたことが大きかったのだろう。そのマイル戦になって13回目になるが、過去12年を振り返ってみようか。
牡馬7勝(2着7回)、牝馬5勝(2着5回)。やや牡馬が有利のようだが、これはこの時期、同斤量(54キロ)で競われることにもよるのだろう。配当的には、半数の6回が馬単で万馬券(馬連では4回)。06年から5回連続で万馬券が飛び出ている。昨年と3年前に1番人気のジャスタウェイが惜敗した時以外は荒れており、GI級の“絶対視”されるような馬が出走していない場合は、疑ってかかったほうがよさそうだ。
今年は、比較的評価の高いテンダリーヴォイスの出否が五分五分。マイネルシュバリエも札幌2歳Sにホコ先を変える公算が強く、大きく抜けた馬がいないことから、今回は波乱含みの一戦と捉えていいのではないだろうか。
穴党の出番である。
最も期待を寄せてみたいのは、コスモピーコックだ。
新馬戦は中京で、あっさり逃げ切ったものだが、力を要す洋芝の中京。馬場が悪かった(やや重)ことも手伝ってマイルで1分40秒0と、ごく平凡だった。前走ダリア賞は、高速馬場の新潟。好位につけ、道中は軽快な脚色だったが、直線いざ追いだすとサッパリで3着に敗れた。速い流れに対応できた感はあったものの、最後失速したのは、戸惑いもあったのだろう。
それとパドックで落ち着きを欠いていたことを思うと“2走目のポカ”だとも考えられる。
しかし、それでいて勝ち馬とはコンマ5秒差。巻き返し可能な着差だ。3着とはいえ、勝ったワキノヒビキのレース内容が際立っていただけに、まず人気にはなるまい。だからこそ狙い目なのだが、この中間は立ち直って好気配。落ち着き払っている。そうであれば大いに期待できるというもの。バランスの取れた、あか抜けた好馬体を見るにつけ、かなりの素質を秘めた馬と判断できるからだ。
それと血統だ。マイルから中距離で活躍した名種牡馬メディチアン(エクリプスSなどGI2勝、産駒も中距離馬が多い)の子で、母系も欧州の一流血脈。一族にはJCにも挑戦したイブンベイ(愛セントレジャーなどGI4勝)がいる。
こうした血統の裏付けがあれば、すでに2戦したキャリアがモノを言うのではないか。一度速いペースでのレースを経験したことも強み。母の父がモンジュー(凱旋門賞、愛・仏ダービー)だけに道悪も問題なさそう。晴雨にかかわらず主力に推したい。
逆転候補にあげたいのは、ゴッドバローズだ。人気薄で逃げ切った新馬戦に続いての一戦になるが、調子落ちは感じられない。母系は、米国の一流血脈。軽視は禁物だ。
◆アサヒ芸能8/26発売(9/4号)より