今週は新潟で「関屋記念」が行われる。比較的堅めのレース傾向ながら、今年は傑出馬不在の混戦模様。万券王・水戸は3歳馬を穴馬に指名した。一方、札幌の「エルムS」は、マリーンSを制したソロルが人気の中心。
「競馬場開設50周年記念」と銘打った特別戦が、新潟競馬開幕日のメイン競走として行われたが、夏の名物レース関屋記念も第50回を迎える。新潟競馬場は、元は市内の関屋にあり、それが豊栄(現・新潟市)に移設され今に至っており、関屋に開設され始まった新潟競馬は半世紀がたつわけだ。
賞金別定で行われるこの重賞は、比較的堅く収まっている。馬単導入後の02年以降、その馬単で万馬券になったのはわずか2回。本命サイドでの決着を見ることが多い(1番人気5勝、2着3回。2番人気2勝、2着3回)。
ただ、今回の顔ぶれを見渡してみると、ハイレベルで力が接近しており、大きく抜けた馬はいない。不動の中心馬がいない以上、大きく荒れることはないにせよ、難解で、馬券的にはおもしろいレースではなかろうか。
02年以降を振り返ってみると、4歳、5歳馬がやはり強く、断然ではないが6歳、7歳馬(ともに3勝)の健闘も目立っている。近走の成績がいい馬、上り調子の馬は外せないということなのだろう。ただし“牝馬は夏に強い”と言われるが、この重賞に限ってはそれほど目立っておらず(2勝、2着1回)、やみくもに狙うのは避けるべきだ。
今回の人気、有力どころをあげてみよう。エキストラエンド、カフェブリリアント、スマートオリオン、そしてマジェスティハーツ、レッドアリオンといったところだろうか。が、前述したように“絶対視”できる馬は見当たらない。穴党としては、やはり他の馬に目をつけてみたい。
狙ってみたいのは、ヤングマンパワーだ。ただ1頭の3歳馬である。02年以降で3歳の勝ち馬はおらず、連対馬もいない(11年にサトノフローラが3着)。だからといって、3歳馬は厳しいと見るべきではない。そもそも3歳で出走してくる馬が少ないだけなのだ。過去にはエイシンガイモン(96年)など何頭か勝ち負けしていることは忘れるべきではないだろう。
確かに4歳、5歳の古馬は地力では勝っているが、3歳馬は日を追うごとにたくましくなっていく時期でもある。そうした勢いは無視できまい。それに3歳牡馬は53キロの斤量で出走できる有利さもある。ならば十分互角に渡り合っていいはずなのだ。
ヤングマンパワーは、過去5戦の全てがマイル戦。GIIIアーリントンCを勝ったれっきとした重賞勝ち馬でもある。前々走のニュージーランドTは、フルゲートの大外枠が響いたもの。前走のNHKマイルCは、前々で決まった緩い流れなのに後ろに構えすぎた。しかし、ともに差のない競馬。能力は間違いなく高い。
今回はそのNHKマイルC以来3カ月ぶりの実戦になるが、短期放牧でリフレッシュ。ここを目標にじっくり乗り込まれて春とは見違えるばかり。すばらしい状態を誇っている。牧場から、まずは涼しい函館に入厩。抜かりなく調整され、1週前の追い切りの動きも軽快かつリズミカルで実によかった。
「大型馬だが、気のいいタイプ。新馬戦を勝ったように鉄砲駆けする馬です」
手塚調教師はじめ厩舎スタッフはこう口をそろえ、仕上がりのよさを強調している。ならば狙っていたマイルの重賞。大いに食指が動くというものだ。
曾祖母リヴァーメモリーズはGI2勝(ロスマンズ国際S、フラワーボウルH)で、近親、一族には活躍馬が多数いる良血。血統的にも今後の活躍が大いに見込める素質の持ち主でもあるのだ。よほどの道悪でないかぎり、頭から狙い撃ちといきたい。
◆アサヒ芸能8/11発売(8/20号)より