今週は“夏の風物詩”として知られる「アイビスSD」が新潟で行われる。比較的順当に収まる傾向だが、万券王・水戸はシャイニーホークを穴馬に指名した。一方、札幌の「クイーンS」は、ケイアイエレガントが妙味。
新潟でしかない直線のみで争われる競馬。その唯一の重賞アイビスサマーダッシュが、夏の新潟開幕週のメインだ。
今年で14回目。過去13年を振り返ってわかることは4、5歳馬が強く、続いて3歳と6歳。7歳より上は一度として連対を果たしていない。古馬になると俗に言う“ズブさ”が出て、ダッシュが利かず電撃戦ともなると苦戦を強いられるということなのだろうか。
牝馬の活躍が目立っていることも頭に入れておくべきだ(牝馬9勝、牡馬4勝)。牝馬はスタミナより、スピード、切れ味が優れているからか。暑さに強いのも牝馬の特徴。これもあってのことだろう。
これまで馬単で万馬券になったのは4回(馬連ではわずか1回)。比較的順当に収まる重賞だけに、無理くり穴馬をあぶり出すことはないか。ということは、穴党の出番はない?
顔ぶれを見てみよう。一昨年のこのレースを勝つなど、短距離戦で活躍してきたパドトロワが実績的には上位だが、すでに7歳。往年の勢いを逸している。直千競馬がやたら強いアンゲネーム、ここ目標のアースソニック、フォーエバーマーク、快速を誇るシゲルカガ、リトルゲルダといったところが人気を分け合うのだろう。ただ圧倒的なスピードがあり、この距離で強い馬はいない。各馬の能力に大きな開きがあるとは思いがたい。枠順、流れ(展開)しだいでは、波乱の目もなくはないのだ。
とはいえ、大きく荒れることはなさそうだ。
前述のデータを踏まえて最も期待してみたいのは、シャイニーホークだ。
この直千競馬は初めて。7ハロン戦、マイル戦が実績から見るとベストと思え、5ハロン戦、それも直線のみの競馬に対応できるのか疑問視されてもやむをえないところ。それが理由で評価が下がるようなら、穴党としては好都合だ。
前走は放牧明けで3カ月ぶりの実戦。仕上がり途上で、まだ馬体に余裕があった。が、そうした状態でありながら行きっぷりがよく、直線を向くまで終始3番手の競馬。さすがに最後は失速したが、それでも勝ち馬とはコンマ8秒差。力があればこそだった。
この内容のよさが直千競馬挑戦の決め手となった。
「あのスピード、行きっぷり。これなら通用すると。それに500キロを優に超す大型馬。器用さに欠けるので、コーナーがない競馬は向いているはず。試してみたいと思った」
これは橋口調教師の弁だが、決して試験的な出走ではなく、心中、勝算ありとにらんでのことではないか。スピード&鋭い決め手。これが身上の馬。以前、芝の6ハロン戦を好タイムで楽勝してもいる。ならば初めての直千競馬でも十分に力を出せるのではないか。
ダイタクリーヴァ(京都金杯など重賞5勝)、ダイタクヘリオス(マイルCSなど重賞7勝)を兄に持つ良血。好走必至と見た。
あと狙っておもしろいのがシゲルカガだ。こちらも直千競馬は初めてだが、典型的なスプリンター。3歳牡馬53キロで戦える有利さもあり、ここ目標に仕上がりも上々。スタートセンスのよさから粘り込みも十分。
クイーンSは、混戦模様。期待したいのは、オツウだ。目下3連勝と波に乗り、オープン入りを果たしたが、デビュー戦を快勝してクラシック候補にも数えられた素質馬。ここでも能力は通用していい。実際、前走のタイムは、アロマティコが勝った翌日の巴賞よりコンマ4秒速かった。トウカイポイント(マイルCS)が近親にいる良血。チャンスがあっていい。
◆アサヒ芸能7/29発売(8/7号)より