早実の清宮幸太郎を筆頭に、関東第一のオコエ瑠偉といったスター選手が活躍し、夏の甲子園が白熱している。マスコミのフィーバーにも拍車がかかるなか、TBSが取材ルールに抵触し、全員分の取材証を返却させられたことも話題になっている。
「取材証を持っていない『あさチャン!』のカメラマンが、取材禁止区域でインタビューをしていた。取材要項では取材証の常時着用を求めており、球場周辺の取材も原則として禁止している。当該カメラマンは大会本部役員から注意を受けた際、『個人的に撮影したものだ』と虚偽の説明をして、その後も禁止区域で取材を続けていた」(スポーツ紙記者)
テレビ制作会社のスタッフが驚いた様子でこう語る。
「TBSといえば毎日新聞の系列で、その毎日新聞は春のセンバツを主催しています。高野連にも理事を送り込んでいるし、それほど甲子園との関係が深いのに、まさか系列のTBSにこんな重い処分を下すとは思いもよりませんでした。来年の取材もできないなんて最大級の処分ですよね」
春と夏の甲子園は高野連と共に、センバツ大会を毎日新聞が、夏の選手権大会を朝日新聞が主催している。それも社内に高校野球専門の部署を持ち、実質的な運営を担っているのだ。その範囲は入場券の手配から警察や消防、自治体との交渉まで実に多岐にわたっているのである。
それが影響したかどうかは不明だが、昨夏に朝日新聞の記者が自分の記者証を知人に貸したという不祥事では、その記者証のみを没収するという軽い処置で済んでいた。この時はその知人がスマホで選手を撮影しており、悪質度は今回のTBSに劣らず高かったはず。なぜこんな違いが生まれたのか。テレビ誌のライターはその理由をこう推測する。
「実はTBSと毎日新聞ってさほど仲が良くないんです。しかも毎日新聞はTBS株を大量に売却しており、今や大株主ですらありません。それくらい関係の薄い両社なので、毎日新聞にしてみれば不祥事を起こしたTBSを擁護する気もないんでしょうね」
あくまで想像だが、取材ルール違反を犯したのがTBSではなく毎日新聞の記者だったら、当該記者の記者証没収だけで済んでいたのかもしれない。結局のところ組織同士の関係性がものを言うということは、甲子園でも一緒ということなのだろう。
(金田麻有)