震災からちょうど100カ日目の6月18日、再び観音院を訪ねると、埋葬当時身元が判明していた遺体の墓地は更地となり、一角には白い粉が散らばっていた。
身元不明者が埋葬されていた場所は、まだ墓地として残っていたものの、この時点では1体を除き、DNA鑑定と観音院で保管していた衣服などの遺品から身元が判明。新たに氏名も入った木札の墓標も設置されていた。
本郷住職によると、更地になった場所に埋葬されていた遺体は、火葬場の稼働力が回復したため、遺族の希望で掘りおこして火葬に移行したのだという。
そう説明しながら、本郷住職は土葬墓地近くにあったプレハブ内に案内してくれた。そこに足を踏み入れると、青いカバーがかけられた9体の棺が安置されていた。本郷住職が、入り口で線香にすばやく火をつけ供えるが、室内にはほのかな臭気が漂う。これらの棺は2日以内に荼毘に付される予定だった。
もっとも棺は単純に掘りおこして、ここに安置したわけではない。本郷住職は次のように語った。
「100カ日前後は遺体の腐敗が進行中で、棺内には地表からしみこんだ雨水、腐敗で発生した体液やガスがたまっている状態。そのまま火葬すると、水分で燃えにくいだけでなく、ガスの影響で棺が炉内で爆発を起こします」
埋葬当時、本郷住職が2年後の火葬を勧めたのは、その時期ならば、棺内の遺体も白骨化し、火葬も比較的円滑に行えるからという理由もあったのだ。
そこで観音院では、檀家のボランティアを募って棺の掘りおこし後に、ある作業を行った。まず、棺下部と遺体が納められた布製の袋に複数の穴を開けて棺を傾け、たまった体液などを取り除く。1つの棺につきバケツ約2杯分の体液などが排出されるという。
これが終わると、遺体が入ったままの棺を屋外で5時間ほど陰干し。さらに棺をビニールシートと棺用カバーで2重に包み、前述のプレハブに安置していたのだ。
そして更地に散らばっていた白い粉の正体は、作業で排出した体液から感染症が発生しないよう消毒目的でまいた石灰だった。
「約40年前までは、この地域でも土葬が一般的だったのですが‥‥」
多くの遺族がこれほどまでに火葬を急いだことに、本郷住職自身は驚きを隠せなかった様子だ。
2011年12月末までに、観音院に土葬されて残っていた遺体は全て身元が判明し、遺族の手で火葬にされた。
-
-
人気記事
- 1
- 上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
- 2
- 【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
- 3
- エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
- 4
- 「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
- 5
- これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
- 6
- 過剰な期待に「待った」…上原浩治が断言「佐々木朗希は1年間、マイナーで投げる」
- 7
- 日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで
- 8
- 「大谷翔平はピストルの弾」「田中将大は石がドーン」ベテラン審判員が目撃した「とんでもない球筋」
- 9
- かたせ梨乃&いとうあさこ「5万円旅」に高橋真麻が感涙復帰で「伝説のボヨンボヨン大揺れ」も復活する
- 10
- ヤクルト・村上宗隆「上半身のコンディション不良」って何?「ポスティング移籍金」に影響するからと…
-
急上昇!話題の記事(アサジョ)
-
働く男のトレンド情報(アサ芸Biz)
-
-
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
-
-
厳選!おもしろネタ(アサジョ)
-
最新記事
-
アーカイブ
-
美食と酒の悦楽探究(食楽web)