社会

東日本大震災「余震、いまだ止まず」(3-3) 避難生活で亡くなる老人も…

 一方、広野町郊外の検問の反対側に位置するのが、南相馬市原町区の国道6号線上の検問。こちらは警戒区域の北限に当たる。
 国道6号線という幹線道路の検問のためか、広野町郊外ほどではないものの交通量は多い。すぐそばにはコンビニやドライブインがあり、それほど緊張感はない。線量も0・2~0・3マイクロシーベルトで、極端に高くもなかった。
 ここからやや内陸に入った田園地帯の集落を歩いて南下する。ほどなく、無人の封鎖ポイントに行き当たる。封鎖ポイントの向こうにも家が数軒立ち並んでいる。警戒区域が集落を分断しているのだ。線量計は、時折1マイクロシーベルト超を知らせる警報音が鳴る。
 その集落で1人の男性住民に声をかけられる。こちらが記者とわかると表情がやや緩んだ。どうやら警戒されていたらしい。男性は問わず語りのように話しだした。
「もともと警戒区域設定前、ウチの集落は全て避難地域でした。なぜこのように分断されたかはわかりません。封鎖ポイントの向こう側にある家も同じ集落の人のものですが、そのうちの2軒ほどは高齢者の単身世帯で避難生活中に亡くなりました。あっ、そうそう、たとえ歩いても警戒区域には入らないほうがいいですよ。飼い主に置き去りにされた犬の一部が野犬化して人を襲いますから」
 東電・福島第一原発事故からはや1年。警戒区域周辺は人も動物も望むと望まざるとにかかわらず、その地への順応を余儀なくされ、いまだ放射能汚染の最前線に立たされているのだ。

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