本サイト既報の記事、「乳がん患者からブーイング!北斗晶の闘病ブログに批判殺到」が大きな反響を呼んでいる。乳がん患者やその家族から、「言いづらいことをよくぞ言ってくれた」という声があがっているのだ。
その一方で、同記事を単なる“北斗叩き”と受け止め、非難する声も少なくない。中には乳がん患者たちに対し、「同病相憐れむという言葉を知らないの?」とか、「北斗がキレイな傷痕だったらショックを受けるんじゃない?」といった声すらある。「こういった言葉こそが、既存の乳がん患者を傷つけている」と警鐘を鳴らすのは、乳がん患者と交流を持つ医療系ライターだ。
「女性にとって大切な乳房を失い、死の不安や体調の悪さと戦っている患者さんたちは、必死になって治療法や乳房再建術の情報を集めています。乳がん学会の患者セミナーでは、『私は患者の素人ですが』と前置きして質問する人がいるほど。そんな患者さんたちは、断片的な情報を垂れ流す北斗さんがメディアに取り上げられるたびに、『本当に勘弁してほしい!』という気持ちになっているのです」
乳がんは数あるがんの中でも唯一、体の形が変わることを余儀なくされる病気だ。それゆえ患者にとってはガンに打ち克つことに加えて、女性らしい乳房を取り戻してQOL(生活の質)を上げることが大事な目的となる。乳房再建を推進する乳がん学会が行政に働きかけ、より広範囲な保険適用を実現した成果も出ている。前出の医療系ライターが続ける。
「今でも、乳がんになると乳房がなくなると誤解している女性は少なくありません。でも日本の乳がん治療は急速に進んでおり、乳房再建は件数も質も大幅に向上しています。それなのに北斗さんが傷痕の公開にこだわれば、乳房再建の啓蒙を阻みかねませんし、世間一般における乳がんへの誤解も解けないままになります」
そんななか、力仕事が原因で傷口が開き、病院で3針縫ったことを北斗がブログで公表。こういった言動がまた、患者たちをイラだたせているのである。
「手術からわずか2週間で力仕事だなんて考えられません! 患者さんの中には手術後の痛みが原因で寝られず、睡眠薬に頼る人もいるほど。北斗さんは人並み外れて頑健なんでしょうけど、こんなニュースが広がれば、手術後すぐに普通の生活に戻れるという誤解も生まれかねません。北斗さんにはどうか、症例も体力も他の患者とは違うことを理解してほしいです」
こういった声を聞いてもなお、乳がん患者たちの心の叫びを非難するようであれば、それこそが患者に対する冒とく行為ではないだろうか。乳がん患者にとって本当に恐ろしいのは同じ病気を持つ北斗の奔放な言動ではなく、世間に流布する誤解と偏見なのかもしれない。
(白根麻子)