いよいよ北朝鮮が衛星と偽りミサイルを発射する4月となった。すでに迎撃準備が命じられ、万全の態勢のように報じられているが、とんでもない。防衛省元幹部によれば、実は迎撃自体が不可能だというのだ。テレビ・新聞が報じない「最悪シナリオ」とは─。
金日成生誕100年で発射!
「北朝鮮が『4月に人工衛星を打ち上げる』と、事実上の長距離弾道ミサイル発射を宣言してから、防衛省は着々と迎撃準備を進めてきたように新聞などでは報じられています。でも、私に言わせれば、まったくの茶番ですよ。『前回』の時は、幸運にもミサイルは本州を通過したから迎撃しなくて済みましたが、今回もし日本領土や領海に落下するのが確実となり『さあ迎撃だ』となったら、現在の自衛隊がミサイルを迎撃することは不可能なんです」
こんな衝撃的な証言をするのは、防衛省元幹部のA氏だ。
彼が言う「前回」とは、09年4月5日の事態。やはり直前に北朝鮮は「人工衛星」打ち上げと称して、日本列島を飛び越える軌道を予定していることを発表し大騒ぎになった。が、蓋を開けてみれば、当日「衛星」は、東北地方の上空を通過して太平洋に着弾したのだった。A氏が続ける。
「もちろん、技術的には日本の迎撃システムでミサイルを撃ち落とすことは可能です。少なくとも発表したとおりの日時と方向から軌道が多少ズレ、領海、領土内に落ちそうになったぐらいなら、ほぼ100%迎撃できると言ってもいい。しかし、それでも現実には迎撃できずに、日本領土にミサイルが落ちる可能性が高い理由があるんです」
テレビや新聞では一切報じられない、その「理由」を明かしてもらう前に、ここで今一度、今回のミサイル発射についておさらいしておこう。
北朝鮮が今回の発射計画を発表したのは、去る3月16日。4月15日の金日成元国家主席の生誕100年を祝うため、北朝鮮北西部の「西海衛星発射場」から「衛星」を打ち上げるという名目だ。
防衛省詰め記者が解説する。
「北朝鮮側は4月12日から16日までの間に発射し、1段目に切り離される燃料ブースターが黄海上に、2段目本体がフィリピン・ルソン島沖の太平洋上に落下するとしています。ですから09年時とは違い日本の領土、領海には落ちにくいコースになっており、予告どおりなら迎撃の必要はない。しかしそれでも、軌道がそれれば、ミサイルの燃料ブースターや本体が、沖縄本島、宮古島、石垣島の3島、それも、人口密集地域に落ちる可能性は否定できません。そこで田中直紀防衛相は3月27日にまず『準備命令』を、3月30日午前に『破壊措置命令』を発令したんです」
いずれも09年以来2度目の発令である。
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