テリー 若い世代は大変ですよね。これから日本の人口はもっと減っていくし、これからの年金制度はどうなっていくんですか?
藤田 確かにテリーさんの世代はまだマシなんです。大多数が正社員でしたから、ある程度の年収があったし、貯蓄もしやすかった。
テリー 株を持ってる人もわりといますよね。
藤田 でも、僕は今33歳なんですが、この世代は非正規雇用が4割という状況なんです。そうなると加入しているのは国民年金だけという人も多いし、もし厚生年金に入っていたとしても、老後の試算をすると月9万~10万ぐらいしかもらえないんです。
テリー 完全に今の生活保護以下じゃないですか。
藤田 これからはそういう人が一般化していくと思います。ですから、「年金なんか払いたくない」という若い人は当然増えていくでしょうし、今のままの社会保障制度では絶望しかないと思っています。
テリー 「下流老人」を読むと、正社員で貯金しやすかった僕らの世代でも、ずいぶんホームレスになってるじゃないですか。どうしてそんなことになってしまうんですか?
藤田 原因はまちまちですが、例えば仕事のストレスからアルコール依存になってしまう方もいるんですね。アルコールを飲みすぎると脳が萎縮して、認知症の初期症状が出てきたりすることもあるそうで、そうすると金銭管理が十分にできなくなってしまうんです。
テリー そうか! 普通に会社を辞めたんじゃなくて、人生のバランスを崩したことで会社を辞めざるをえなかった人もいるってことですね。じゃあホームレスの方の中には、心の病を抱えた人も多いんですか?
藤田 心の病に限らず、私が出会ってきた方は、かなりの数が病気や障害を背負っていました。ホームレスの方だけでなく、生活困窮者にはそういう方が相当数含まれています。
テリー でも、その人にも家族はいるはずですよね?
藤田 「関わりたくない」「一切、面倒も見たくない」と断絶されてしまっている方が多いですよね。家族のサポートがあれば、ホームレスになるケースはかなり減ると思います。
テリー そんな人たちに、藤田さんはどういったアドバイスをされているんですか?
藤田 ケースバイケースですが、まずは本人の聞き取り調査から始めます。もし働けそうなら一緒に仕事を探しますし、住むところがないのであれば、うちのNPO法人でもシェルターを用意してますから、そこに入ってもらう支援をします。うちのシェルターは埼玉にあるんですが、都内であれば、いくつもシェルターや宿所提供施設がありますよ。
テリー でも、ずっとシェルターに住まわせるわけにもいきませんよね。
藤田 そのあたりは実際、その方の能力によりますね。仕事が見つかればすぐに出て行かれる方もいますし、逆にもう8年ぐらいおつきあいしてる方もいるんです。例えばアルコールやギャンブルへの依存があって、独立してもすぐ家賃を滞納して、また相談に来られるんですよ。
テリー 依存症は「やめなさい」と言ったところで治るものじゃないですよね。
藤田 そうなんです。依存症は本人の自覚がなくても、専門家が見ると治療の対象だというケースも多くて。精神科の先生方と一緒に治療に入っていくこともあるんです。長くおつきあいをしていくしかないんです。