やはり視聴率は1桁に逆戻りだ。2月29日に放送された月9ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)の視聴率が8.9%に下落。前話で10.7%を記録したのは悪天候で在宅率が高かったからという説を証明する形となった。そんな不人気ドラマを巡り、やたらと「良作ドラマ」と持ち上げるステマ記事が横行していると指摘するのはテレビ誌のライターだ。
「同作品の紹介記事はハッキリと二分されます。一つは視聴率という客観的データをもとに不人気ドラマと断じたうえで、その理由を分析するもの。そして、もう一つは『リアリティにあふれる』とか『現代の若者を描きだしている』などと低視聴率をよそにやたらとドラマとしての出来栄えを持ち上げるものです。どんなドラマにもそれなりの見所はあり、それを評価する記事は珍しくありませんが、作品全体を『良質なドラマ』と無批判に賛美する記事にはステマではという疑問を抱かざるを得ませんね」
そんな「いつ恋」と好対照なのが、前々作の「恋仲」だ。月9ドラマで史上初の視聴率1桁発進となったものの、中盤以降には視聴率を回復。最終的には平均視聴率10.8%と及第点をマークし、生放送も盛り込んだ最終回には世間の注目も集まっていた。その「恋仲」に“良作”という評価は聞こえてこなかったとテレビ誌編集者は指摘する。
「良作とは呼ばれない『恋仲』ですが、同作品の描いた世界観が視聴者に支持されたことは数字が示す事実です。それに対して視聴率とは関係なく良作扱いされる『いつ恋』については、社会派ドラマの雰囲気をまとえば良作になるのかと問いただしたいですね。本当に良質なドラマであれば、描かれている世界観が暗くても視聴率が付いてくることは『家政婦のミタ』や『家なき子』で証明されています」
第7話では有村架純演じるヒロインが、プロポーズしてくれた上司に対して返事を保留したあげく、別の男を助けるのに手を貸してほしいと虫のいい頼みごとをする始末だ。そんな態度は自分勝手と呼ばれるはずだが、「良作ドラマ派」はそんなヒロインを良しとするのか、見解を披露いただきたいものである。
(金田麻有)