4月2日、女子フィギュアスケートの元世界女王・浅田真央(25)が、「(来季もまだ)できる」と現役続行宣言し、ファンをホッとさせた。その一方で、過去最低の7位に終わった世界選手権の舞台裏では、「電撃引退」という言葉が飛び交っていたのである。
米国のボストンで開催されていた世界選手権。日本の女子陣は11大会ぶりにメダルなしという結果に終わり、18年の平昌五輪に不安を残した。スポーツ紙デスクが振り返る。
「前回の銀メダリスト・宮原知子(18)が5位に沈み、本郷理華(19)も8位と、この1年間で世界とのレベル差がグッと開き、意気消沈ムードでした。とりわけ、浅田がSP(ショートプログラム)で9位と出遅れるや、引退の危惧がささやかれ始め、現場は慌ただしいものでした」
その理由の一つは姉・浅田舞(27)の会場入りだ。14年ソチ五輪さえも、姉の舞は国内で応援していただけに、周囲が色めき立つのも当然の成り行きだった。スポーツライターが話す。
「海外の試合に舞ちゃんが駆けつけたのは、10年のバンクーバー五輪以来でしたからね。実は昨年末の全日本選手権のフリー前夜にも真央ちゃんが『これで最後になるかも』とメールで応援観戦を頼んでいた。その時は何とか3位になり、世界選手権の切符をつかんだため、現役続行となりましたが、『最後の試合は舞にも観てほしい』とは、ローカル番組で吐露したこともあるほどの心情なんです」
今回に関しては「一緒に戦ってほしい」という真央の強い思いから実現した舞の観戦だったという。
「2人のイニシャル『M』をデザインしたネックレスがお守りだったことも明かしていましたが、もしもフリーで今季ベストの滑りができていなければ、現役続行宣言はなく、いつもの『ハーフハーフ』という曖昧な表現をしていたかもしれません」(前出・スポーツ紙デスク)
今回もまた、背水の陣で挑んだ大会だったことは、試合後のコメントからもうかがえる。報道陣から「1年を振り返って満喫できたか」と聞かれ、
「復帰しないほうがよかったのかなと思っている時もありました。自分たちの時代は終わったのかなというふうにも思った」
と、引退を覚悟していたことを示唆したが‥‥。
「昨年、1年間のブランクから復帰を決めた時、先輩の伊藤みどりさんとの対談で、『残してきたものがある』と忘れ物の五輪金メダルへの思いを口にしていましたね。亡き母との約束でもあり、簡単には諦められないのでしょう」(スケート協会関係者)
とはいえ、一戦一戦に進退をかけている状況に変わりはないようだ。
「“電撃引退”の声は、1月の四大陸選手権辞退の時にも聞かれました。表向きの理由は『トレーニングに集中したいから』でした。でも本音は『今、私に足りないのは実戦不足なんで、ここをステップにし、世界選手権につなげたい』だったはず。それでも辞退しなければならなかったのは、持病の腰痛や痛めている膝の影響で、代名詞のトリプルアクセルに支障があれば、いつやめてもおかしくない事態が続いている」(前出・スポーツライター)
一方、浅田が現役続行にこだわる理由の一つに、引退後の活動をあげるのは民放のスポーツ記者だ。
「姉の舞ちゃんをはじめ、五輪金メダリストの荒川静香や浅田家と犬猿の仲のミキティ(安藤美姫)など、フィギュア出身のスポーツタレントや解説者は飽和状態です。そもそもタレント業には消極的で、舞ちゃんが自慢のバストを武器に写真集を出版した際も、『やめてほしかったな』と、ダメ出しをしていた(笑)」
浅田は来季も世界選手権で女王復権を狙うが、今季のようにGPファイナル、日本選手権と、常に並行して“電撃引退”覚悟の戦いが続くようだ。