〝侵略国家論文〟で意見対立も…
かつて田母神氏と森本大臣は、論争を繰り広げたこともあった。08年に田母神氏が「日本は侵略国家ではなかった」と題する論文発表により、航空幕僚長の職を解かれた問題で、拓殖大学の教授だった森本氏は産経新聞「正論」において、
「他人の論評の中から都合の良いところを引用して、バランスに欠ける」「張作霖爆破事件は、満州権益の保護拡大のため関東軍が独断専行の結果引き起こしたものである。田母神論文は小学生の作文だ」と、“田母神論文”を徹底批判。その後もテレビでも幾度か論戦となったが、お互いの主張は相容れず、平行線のまま現在に至っている。
だが、厳しい提言もありつつも田母神氏は森本防衛大臣に期待を述べる。
「組織とはトップによって左右されます。自衛官は今、監視され、発言を封じられ、伸び伸びと行動できない閉塞状態に置かれているのです。背広組の内部部局が自衛官の人事権まで握って自衛隊をコントロールしていることに多くの自衛官はおかしいと感じています。今の仕組みは自衛官のやる気をそぐ仕組みなのです。
防衛大臣は自衛隊の精強化を図ることこそが責任であり、自衛官の任務遂行意欲を向上させることが今きわめて大事です。これまでの大臣は自衛隊の精強化にはほとんど興味を示さず、自衛隊の手足を縛り、政治的に問題を起こさないことを追求してきたように思います。
防衛大臣は政治に目を向けることは当然ですが、同じくらい部隊側にも目を向けてほしいですね。大臣の目が部隊側に向けば内部部局の意識も変わります。
森本防衛大臣は自衛官出身なので、そのへんは少し期待しています。制服自衛官の意見をよく聞いてほしいと思います。自衛官こそは国家、国民のことを第一に考えている人たちなのです」
防衛のスペシャリストとして、その手腕が期待される森本新大臣。森本氏の就任によって我が国の守りは変わるのか。尖閣諸島に侵略をたくらむ中国への対応は変わるのか。自衛官出身の新大臣の動きを注視していきたい。