主張する防衛大臣たれ!
田母神氏が続ける。
「世界的に見ても、軍事の専門家がトップに就任するなど当たり前です。ところが日本の防衛大臣は、数ある大臣の椅子の中でも“閑職”とされてきました。政治が国の守りを軽視してきたからです。自民党時代もそうでしたが、民主党も“誰でもいい”との視点で選んでいたからこそ、田中(直紀)さんや一川(保夫)さんのような素人大臣が誕生したのです。今後、自衛官出身者にも防衛大臣への道が開けるでしょう」
実際、民主党政権誕生以来、歴代の防衛大臣は、問題人物が次々と就任。自身の素人ぶりを逆手に取り「これが本当のシビリアンコントロール」という迷言を吐いた元祖素人大臣・一川保夫議員に続き、ド素人の田中直紀前防衛大臣に至っては、珍エピソードを連発。「就任直後に、国連平和維持活動の武器使用基準緩和について質問され、武器輸出三原則の見直しと混同したのを皮切りに、北朝鮮のミサイル問題では、迎撃ミサイルPAC3を海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cと間違えた。またF35(FX=次期主力戦闘機問題)について『買えない場合はどうする』と質疑され『困る』と‥‥。幼稚園児並みの答弁しかできなかった」(政治部記者)
だが、今回の森本氏の防衛大臣就任に懸念材料がないとは言えない。田母神氏は、森本大臣の「対米追従型」のスタンスは日本の国益にとってプラスにならないと一刀両断にする。
「私が何度も言っているとおり、アメリカ国家戦略の基本は『日本を軍事的に自立させず、経済植民地化を図ること』であり、アメリカの言いなりになればなるほど損をします。私は大国アメリカとケンカしろと言っているわけではない。それはバカなことだ。良好な日米関係の維持に努力することは当然であるが、日米の国益は対立することがほとんどだから、主張すべきは主張しなければ日本を守ることはできない。日本の国益を守るという意味で頑張れるかどうか。外務大臣と防衛大臣は、揺るぎなき国家に対する自信を持っていなければならず、その点で森本さんは、基本的にTPP賛成派で核武装反対派でもあります。アメリカに従属して生きる道を選択したほうがいい、と思っている方かもしれません。また、集団的自衛権は行使できるようにすべき、と言っていた森本さんが、大臣就任のとたん、集団的自衛権の解釈は変えないそうで、このあたり、違和感を感じます」