息子の裕太容疑者が婦女暴行容疑で逮捕されたことを受け、母親で女優の高畑淳子が2014年に受章した紫綬褒章の行方に注目が集まっている。数多くのベテラン芸能人が受賞している紫綬褒章だが、高畑に対して自ら返上すべきという論調がネット上で巻き起こっているのだ。芸能ライターが返上派の意見を代弁する。
「返上派が根拠にあげているのは、柔道家・内柴正人の例です。アテネと北京の五輪金メダルで紫綬褒章二つを受けた内柴は、2011年に婦女暴行事件で逮捕。2014年に実刑5年の判決が確定し、その翌月に紫綬褒章を褫奪(ちだつ)されました。これにならって息子が婦女暴行で逮捕された高畑も、実刑が確定した場合には責任を取って返上すべしというものです」
ただ内柴のケースでは「勲章褫奪令」という法令により、強制的に紫綬褒章がはく奪されており、自発的に返上したわけではない。しかも高畑自身は容疑者でもなんでもなく、同法令が適用されること自体がありえない。つまり内柴を例に挙げるのは誤りなのである。その点に関して週刊誌記者が説明する。
「返上派のなかには『位、勲章等ノ返上ノ請願ニ関スル件』という法令を根拠にあげる者もいます。同法令では特別の事情がある場合に返上を請願できると定められているからです。ただ『特別の事情』の内容については2008年に閣議決定が行われており、受章者本人の行為や境遇が該当すると定められました。息子の不祥事は対象外なので、やはり高畑による返上はありえないという結論になります」
天皇陛下の名をもとに授与される紫綬褒章は、受章者が勝手に返上を言い出すことができないほどに重いもののようだ。高畑には事件に関する発言の一つ一つに、受章者としての責任が問われていることを自覚する必要があるのかもしれない。
(金田麻有)