裕太容疑者の通った高校は「芸能界のドン」の長男や、長嶋茂雄氏の次男もOBとして名を連ねる。Aさんが被害にあったのは裕太容疑者が高校1年生、09年の時である。知人は、憤怒の思いをこう告白した。
「Aさんに頼まれたわけではありません。しかし、高畑が母親の力を背景に、性行為を強要したことは許しがたい。泣き寝入りしている被害者もいるということを、ぜひ世間に知らしめてほしいと思い、お話しすることにしました」
知人は、Aさんの素性が極力わからないよう書くことを条件に、詳細な性虐待の模様を聞かせてくれた。そこから暴かれた裕太容疑者の素顔は、バラエティ番組で見せる「天然」とは違う、狡猾で卑劣なものだった。
劇団青年座では、33年間中心俳優だった西田敏行(68)が、03年に退団する。
「代わって稼ぎ頭となったのが、高畑淳子だったそうです。裕太は中学くらいから、母に連れられて来ました。学校にはほとんど行かず、名古屋で公演した時、平日にもかかわらず顔を見せていたそうです」(前出・Aさんの知人)
裕太容疑者が、母の楽屋に入るのも「顔パス」だった。そして異変が起こる。ある時、高畑淳子が、
「最近、楽屋のものがなくなるのよね」
と、疑惑の目を劇団員やスタッフに向けたのだ。
「被害が高畑淳子に限られていて、劇団で調査があったそうです。楽屋に入れるのは、いわゆる『付き人』と息子だけ。紛失が決まって裕太が来た時に起こるので、『あいつだ』ということになりました」(前出・Aさんの知人)
研究生だったAさんは、高畑淳子の「付き人」に抜擢された。「付き人」は、研究生から有望な人間が選ばれ、準所属、正所属団員への登竜門だ。高畑には、舞台袖に1人、楽屋に1人と計2人の付き人がいた。看板女優の「付き人」は、団員最底辺の研究生にとって、羨望の「役」だという。
そして、Aさんが20代前半の時に事件が起こる。
09年秋、高畑は別な劇団と大手芸能事務所による、約1カ月の長期舞台公演に出演していた。母・淳子がいない時に、裕太容疑者が楽屋を訪れ、そこにいたAさんに、いきなり、
「今日、何時まで仕事なの?」
と声をかけたのだ。Aさんが時間を答えると、
「〇時に、〇〇ホテルの△室に来て」
と誘いの手を。Aさんが携帯電話で調べると、指定された場所はラブホテルであることがわかった。断るAさんを見た裕太容疑者は、こう軽口を叩いた。
「バージンなの? バージンじゃないっしょ!」
そして、困惑するAさんを、こう脅迫したのだ。
「楽屋付き人辞めたいの?」
その時のAさんの心情を、知人が代弁する。
「高畑の付き人であれば、役がもらえる可能性が高い。Aさんは『役者として生きたかったから、断れなかった』と言っていました」
結局、Aさんは指定どおりに、ホテルの部屋を訪れた。裕太容疑者は、いきなりAさんにディープキスをして、乱暴に胸をもみしだいたという。巨体がAさんをベッドに押し倒す。下着を剥ぎ取り、そのまま挿入した裕太容疑者は、避妊具を着けることもなく力任せに腰を動かす。受け入れる準備もできていない状態で、Aさんは痛みに耐え、涙をこぼしながら裕太容疑者にこう懇願した。
「‥‥やめて‥‥ください」
ようやく冷静になった裕太容疑者が、無言でAさんからペニスを引き抜いて行為は終了した。Aさんの股間から流れ出た血が、その非道さを示していた。