「シン・ゴジラ」の勢いが止まらない。観客動員は累計約344万人、興行収入は遂に53億円を突破した。サイリウム・仮装OKの発声可能上映、女性客限定上映などのイベント企画も好調で、今週末からはゴジラシリーズの聖地でもある「TOHOシネマズ日劇」での限定公開も始まるなど、まだまだ話題はつきないようだ。
「現実にゴジラが現れたら」をテーマに、リアリティ重視で描かれる物語が様々な解釈を呼び、多くの識者からのコメントを引き出しているところも本作の大きな特徴のひとつである。しかもここにきて、本作の主人公たちのモデルとも言える政治家たちが活発な発言をし始めた。
「最近では、石破茂元防衛庁長官がブログで『シン・ゴジラ』での自衛隊の対応に違和感を覚える旨の発言をしたり、枝野幸男民進党幹事長が3.11時の日本の官僚は映画以上に頑張っていた、と比較するようなコメントを出していたりしていますね」(映画ライター)
本作に数多くの政治家、官僚が取材で協力しているため、作品自体への関心が高いというのも理由のひとつだろう。だが、一部ではこういう見方もあるようだ。
「結局、『シン・ゴジラ』を語ることで自身のイメージを上げるという計算があってのことだと思いますよ。発言の内容を見ていても、作品そのものを語るというよりは“あの描写は間違っている”とか、“有事の時はこういうことをするものだ”といったダメ出しがメインになってしまっている。それをするのが現場にいる自分の立場だということなのでしょうが、正直、映画を楽しむ側からすると、そのリアルへの固執は聞いていてかえって萎えるんですよね(笑)。観客はそこを楽しんでいるわけではないですから」(前出・映画ライター)
自身の立場をアピールするのは構わないが、映画に登場する虚構の政治家たちが自分たち以上に大きな人気を集めていることにも、目を配ってほしいものだ。