今までと形態の違うゴジラにオールドファンの間からは「変身するのはヘドラと同じ」と指摘する声が上がっているが、戸惑うなかれ。
「他にも、今回のゴジラはしっぽが異常に長いと言われているが、円谷英二は『キングコング対ゴジラ』でしっぽに躍動感を与えたいと初代よりも長くしている。本来、ゴジラはしっぽが長い要素を持っていたんです。また、初代ゴジラにはビルを破壊する動的なシーン以外にも、効果音もなく静かに歩いて、不気味さを強調するシーンがあります。今回の『シン・ゴジラ』にも同様に、燃え盛る街を静かに進むシーンが入っている。実にゴジラの本質を見抜いていると思います」(池田氏)
さらに、オールドファンをうならせたのが、冒頭で行方不明になるこの巨大不明生物の鍵を握る牧博士の存在だ。牧博士の近影は「日本のいちばん長い日」などを撮った故・岡本喜八監督の写真が使用された。池田氏がさらに続ける。
「庵野監督は岡本監督の『激動の昭和史 沖縄決戦』が大好きで、100回以上観ているという。『シン・ゴジラ』のカット割りの速さは『沖縄決戦』の影響が強いと思います」
初代ゴジラを踏襲、加えて岡本喜八監督へのリスペクト。温故知「新」のシンの意味も含まれている。
総勢328人の豪華キャストの中でも異彩を放つのがアメリカ大統領特使役の石原さとみ(29)だ。英語まじりの奇妙な日本語を駆使する姿に歓喜するのが、「ゴジラ×メカゴジラ」に出演したことのある漫画家の杉作J太郎氏だ。
「映画が大ヒットしたのはズバリ石原さんのおかげですよ。私は事前に情報を一切入れずに映画を観たので彼女が出ていることは知りませんでした。でもゴジラよりも、英語をしゃべる勝ち気な女性政治家を好きになってしまいました。それも、英会話学校のCMのおかげでしょうか、まさに努力に勝る精進なし。このままメカゴジラに乗ってゴジラと対戦するのでは、と妄想してしまいました」
杉作氏のみならず、怪獣映画の紅一点となる石原の艶姿に心を奪われた観客も多い。座席が振動し、光や風などを体感できる4DX上映館では、「石原さとみが登場するシーンではいい匂いが出る」という都市伝説がまことしやかにささやかれたほど。
「4Dで匂いまで出たらゴジラがかすんでしまう。それよりも、ぜひ次回作は勝ち気な唇の石原さとみさんにゴジラと戦ってほしい」(前出・杉作氏)
ヒットの陰に、世の男を暴走させる石原の「ぽってり唇」のシンも、またあり!?