結婚生活によって夫が購読していた「産経新聞」と、産経新聞出版の月刊誌「正論」を読むようになり、保守思想を学び始める。政治評論家の浅川博忠氏はこう話す。
「弁護士時代、産経新聞に月1回ペースで原稿を寄稿していました。それを読んだ安倍総理が、稲田氏のタカ派的発想に感心して、政治家になってほしいと目をつけていたのです」
日中戦争時の事実関係を争った「百人斬り訴訟」では原告側弁護人を務めた。「行動する保守論客」として保守の世界で頭角を現すと、自民党若手議員の勉強会で講師を務めることもあった。
05年夏、「郵政解散」が決まり、第44回衆議院選挙が行われると、当時、小泉政権下で幹事長代理だった安倍総理に口説かれ出馬。初当選して政界入りした。第二次安倍政権で、行政改革担当相に抜擢されるや世間への知名度が広まっていく。
だが、公務員改革や農協改革での実績を評価する向きがある一方で党内では政治能力に疑問も出ている。
「昨年6月、甘利明経済財政政策担当大臣(当時)と歳出削減額を巡って揉め、怒らせていました。政調会長に必要な調整力はなかったと評価されています」(政治部デスク)
ある自民党の中堅議員も稲田氏への不満を隠すことなく、政治部記者にこう話している。
「中身は空っぽだ。歴史認識では自分の意見があるけど、それ以外は官僚の意見を右から左に流すだけ。リーダーには向いていない」
稲田氏が所属する「細田派」会長の細田博之総務会長(72)も苦言を呈しているという。
「昨年7月、細田派の夏の研修会で稲田さんのスピード出世について、『(他の議員に配慮して)少し考えなければならない』と話していた」(前出・政治部デスク)
党内の反発は、稲田氏の実務能力に欠ける一面が呼び込んだのか──前出の浅川氏は言う。
「稲田氏は政治家としてラッキーガール。安倍総理に見いだされて、出世を続けてきました。8月3日の改造人事では、当選5回以上で初入閣有資格者は約70人。そんな中、稲田氏が再び大臣ポストに就いたことで、党内からやっかみの声は増すばかりです」
永田町では「総理の特別枠」という陰口も聞こえてくるが、選挙区の福井に視線を移すと評判は上々だ。
今では定番となった地元産のメガネと網タイツを身に着け、萌え人気で男たちのハートをキャッチ。
「地元青年部には稲田ファンの男性が多く、選挙になったら一致団結して票集めに奔走します」(前出・政治部記者)
特にネット放送「ニコニコ動画」に、メガネ姿の稲田氏の動画が上がると、視聴者から「萌え~」「ハァハァ」の文字で画面が埋まるほど。いわゆる「ネトウヨ」人気はきわめて高い。
10代の頃からファッション好きで、私生活では「ティファニー」のサングラスや、高級腕時計「フランク・ミュラー」を愛用するなど、永田町のオシャレ番長の一面も持っている。