視聴率低迷にあえぐフジテレビが、昨年に続き大みそかは格闘技中継で勝負する。当然、高視聴率獲得にはそれ相応のカードが必要だが、なんと、誰もが知る超大物に白羽の矢を立てていたというのだ。
12月29日と31日にさいたまスーパーアリーナで格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」が開催される。女子の試合にも力を入れているが、目玉としてギャビ・ガルシア(31)vs神取忍(52)の試合が発表された。
「『世界最強の女柔術家』vs『女子プロレス最強の男』とのうたい文句でマッチメイクされていますが、実はガルシアの総合格闘技経験はたった3試合で、実力は未知数なんです。精神面の弱さを懸念する関係者もいます。対する神取もケンカマッチなど数々の伝説を残してはいるものの、全盛期をとうに過ぎた年齢です。プロレスでは対戦を敬遠されることが多く、今や年間数試合の試合出場だけなので、正直なところ、懐事情が参戦理由とも言われます。男子選手にも言えることですが、格闘技中継が少ない昨今、知名度のあるスター選手が育たず、過去に実績のある選手を出さなければならない苦しい現状があるんです」(格闘技関係者)
同大会はフジが18時~23時45分と、昨年より枠を拡大し、実に5時間45分にわたって中継することが発表されている。
「実は大みそかに狙っていた“SMAPさよなら特番”の交渉が不調に終わったことで、格闘技中継の長時間化にスライドしました」(フジテレビ関係者)
それだけに、RIZINは他にもゴールデンタイムにふさわしい選手と交渉を続けてきた。その人こそ、“女子レスリングの女王”吉田沙保里(34)だというのだ。
吉田は昨年12月、05年から所属していたALSOKを突然退社してフリーとなり、マネージメント会社と契約した。そして今年7月に催され、参加者が1000人を超えた、リオ五輪への壮大な「吉田沙保里壮行会」をバックアップしたのが、他ならぬRIZIN実行委員会だったのである。
「これまでRIZINは、吉田サイドと距離を確実に縮めてきた。昨年の旗揚げ会見には、日本レスリング協会の福田富昭会長(74)が出席し、選手を送り込む協力態勢を表明しました。福田会長はプロになった選手が注目されることで、アマの競技人口が増えることを望んでいる。吉田自身も後輩の村田夏南子(24)がRIZINでデビューした際、解説を務めるなど応援で会場に駆けつけていますからね」(前出・フジ関係者)
吉田が足を運ぶ会場や、大会をPRするテレビ収録などの場で、RIZINの榊原信行実行委員長(53)や高田延彦統括本部長(54)などが顔を合わせる機会は多く、非公式ながら何度も交渉を重ねてきたという。
「それでも吉田の返答は一貫して『殴ったり殴られたりするのは痛いから』と拒否です。高田氏は『だったらグラップリング(寝技)のみのルールではどうか』とも交渉しているようですが、色よい返事はもらえていないようです」(前出・フジ関係者)
国民的女子レスラーの総合格闘技参戦は、想像以上にハードルが高いのか。
「あくまで新しいことにチャレンジするという名目で、『負けてもしょうがない』というスタンスで勝負できる選手ならいいですが、前人未到の女子レスリング世界大会16連覇の偉業を成し遂げた強さの象徴で、まして国民栄誉賞受賞者ですから、負けは許されませんよ。そもそも本人にその意識が強い。銀メダルに終わったリオでの号泣を見ればわかりますよね」(前出・格闘技関係者)
吉田の所属事務所に、RIZINからのオファー状況と参戦意思を聞くと文書で以下の返答があった。
〈オファーがございましたが、受諾しておりません。理由としましては、関心がないためです〉
何とも、つれない様子である。一方、RIZINの広報担当はオファー状況をこう説明した。
「お会いするたびに興味があるかどうか、ラブコールは送っています。ただし条件提示などはしておらず、正式なオファーはまだしていません。もちろん、ラブコールは送り続けます」
はたして年末決戦では、吉田が心変わりするほどの衝撃が訪れるだろうか。