堤前GM同様、由伸監督も13連敗した直後はこれまでと様子が違ったという。
「ふだんから他人事のようだったコメントが、さらに吹っ切れたような物言いになったんです。ついには『もう、やってくしかないですよ』となげやりに言い放った姿は、“他人事ここに極まれり”だった。シーズン中はともかく、このままBクラスに終われば、3年契約の途中でも辞任は避けられず、監督がその思いを強くした瞬間に見えました。監督をよく知る球団スタッフも『由伸の性格上、そうするだろう。慶大野球部の先輩(堤前GM)がクビを差し出して守られた形だけど、プライドを大事にする由伸は逆に、強い責任を感じているだろう』と口にしていた」(球団関係者)
まだシーズンが終わったわけでもないが、事態は確実に動きだしているようだ。
仮に就任2年目での辞任となれば、第一次政権時代の原辰徳監督(58)と同じ道をたどることに。それも一度の優勝も果たせずに辞任となれば、直後の堀内恒夫氏(69)以来の緊急事態となる。
当時の状況を再現するなら、原前監督の再登板も想定されるのだが、
「もちろん実績や人気面を考えれば、球団もそれを望んでいる。しかし、堤GM体制下で原カラーの一掃を図ったことで、球団と前監督との間には距離ができています。よほど根本的に体制が変わらないかぎりは就任要請を受けないでしょう。原氏は監督を退任した15年オフに、実はDeNAからオファーを受けています。すると急遽、引き止めのために巨人から現在の『特別顧問』という肩書だけを与えられましたが、実質、巨人では何もしていません」(球界関係者)
原氏は現在、日本代表監督に就任して東京五輪で指揮を執ることしか念頭にないようだ。他にふさわしい候補がいるかといえばハードルは高く、限られてくる。
「巨人の監督就任条件には、世間で言われている『生え抜き』だけではなく、『4番かエースを務めた選手』という裏条項があります。巨人の監督という重責に耐えられるのは、現役時代に同等以上の重圧を耐えて結果を残した人間しかいないと考えられているからです」(スポーツ紙デスク)
まして、6月2日のオリックス戦前に老川祥一オーナー(66)が選手を集めて訓示を行い、低視聴率やチケットの売り上げが悪いことをチームの低迷が問題であるかのように話したとも報じられている。チームの再建を託せるのは当然のこと、集客が見込める人気も求められるのである。
すると、何度も監督候補としてささやかれてきた、頭脳派エースの名前が浮かんでくる。そう、江川卓氏(62)である。