巨人が「乱獲」とも揶揄される大補強に成功した。すなわち2017年シーズン、高橋由伸監督(41)は優勝以外を許されなくなったということ。ついには保険として、あの「絶好調男」を次期監督として迎え入れるプランまでが進行しているというのだ。
巨人はDeNAから山口俊(29)、ソフトバンクから森福允彦(30)、そして日本ハムから陽岱鋼(29)と、史上初となるFAでの3選手強奪を成し遂げた。それだけ17年にかける本気度がうかがえる。
そればかりか、日本ハムから吉川光夫(28)をトレード補強し、先発候補を強化。新外国人選手も大物釣りに成功し、4番候補として元楽天のマギー(34)、新守護神候補に現役メジャーリーガー・カミネロ(29)の獲得まで成功している。
ここまで実に「総額30億円」とも言われるビッグマネーをつぎ込んでいる背景には、他でもない鶴の一声があった。
いまだ球団で実質的な権限を持つ読売新聞グループ本社代表取締役主筆・渡邉恒雄氏(90)が16年夏に発した言葉である。チームが完敗し、4位に転落した7月7日の阪神戦を見届けたあと、報道陣に「やっぱりこれはね、由伸の責任じゃないからな。フロントだよ。補強してないんだから。こんな補強せずに、今の陣容で勝てったって無理だよ」と、編成トップの堤辰佳GM(51)らの無策ぶりに鋭く舌鋒を向けたのだ。結果、ドンから発破をかけられた堤GMらフロント幹部は、焦って金に糸目をつけずに走りだした。
その一方で、大戦力を背景に2年目の高橋監督が安泰かといえば、答えは「NO」である。球団幹部の一人は、その理由について次のように打ち明けた。
「確かに、2017年のウチは多くの有識者たちから優勝候補にあげられると思う。しかし裏を返せば、これだけ補強してもらいながらまたV奪回に失敗すれば、3年契約の途中とはいえ、高橋監督は進退伺いを提出する可能性が濃厚。そうなれば、由伸支持者の主筆もさすがにかばい切れない。シーズン終了後、そういう最悪のシナリオに結びつく可能性は大いにあるのだから、準備をしないといけないでしょう。というのも、16年シーズンのベンチワークからすると、巨大補強で膨張気味になったチーム、それも我の強い各選手たちを高橋監督の能力ではうまくコントロールできないと見られるからです」
実は球団内で今、この幹部を含め多くの関係者たちが「由伸ジャイアンツでは永遠に勝てない」と静かに水面下でシュプレヒコールをあげている。その流れの中で早くも高橋監督に代わる次期監督候補として浮上しているのが、前DeNA監督・中畑清氏(62)である。