格安航空会社のバニラエアが車いす客の搭乗をいったん拒否し、果てはタラップを自力で這い登らせた一件が話題だ。この件では当のバニラエアにはもちろん、同社が規約で定める5日前までの通知をあえて無視した乗客側にも批判の声が集まっている。
その事件に関して、「五体不満足」の著書などで知られる作家の乙武洋匡氏が6月29日、ネットメディアのハフポストに論評を寄稿。事件の経緯を丹念に分析し、共感を呼んでいるようだ。
「乙武氏は、バニラエアが決して車いす客に自力でタラップを這い上がるよう命じたわけではないことを説明したうえで、本件で重要なのは『理不尽だと感じられるこの社会環境を変えていく』ことにあると指摘。自分自身も、車いす客用の設備がないことを理由に飛行機への搭乗を断られた経験があると明かしたうえで、『あえて波風を立てていく場面が必要にもなってくる』と主張しました」(トラベルライター)
この説明には「やっと事の本質が理解できた」といった共感が多数寄せられているようだ。ところがその寄稿で乙武氏はちゃっかり、過去の行動に関して「防御線」を張っていたのである。末尾に記された「最後になりましたが、銀座イタリアン事件については、申し訳ありませんでした」という一文について、芸能ライターが説明する。
「その事件とは13年5月に乙武氏がビル2階のレストランを訪れた際、狭い階段でしかアクセスできないため自分を抱えて運ぶように告げたものの、店主から断られたというもの。乙武氏はツイッターやブログに店名をあげて『入店拒否された』と投稿し、同レストランに抗議が殺到しました。ところが乙武氏に対しても批判が集まり、炎上する騒ぎとなったのです。乙武氏は当該ツイートとブログを削除しましたが、今でもこの事件が引き合いに出されるケースは少なくありません」
そこで今回、自ら先手を打って謝罪するというテクニックを駆使した乙武氏。これにはネット民からも「自分から先に謝っててワロタ」などと好意的な反応が出ており、どうやら戦略勝ちを収めることができたようだ。
(金田麻有)