石破茂首相は、自民党内から反対論が強い戦後80年の首相談話の発出を見送る代わりに、大戦の検証は行い、平和への自らの思いを込めたメッセージを出す方向で調整している。自民党内からは「7月の参院選を乗り切れると思っているのか」と訝る声が出ているが、昨年10月の衆院選の時と同様、たとえ負けても居座るつもりのようだ。
石破首相の後見人を自任する山崎拓元自民党副総裁が「月刊日本」のインタビューで、参院選後も石破政権が続く、との見通しを語った。これが今、永田町で大きな波紋を広げている。山崎氏はこの中で「石破政権は参院選後に多数派工作を行い、2027年まで継続することになる可能性が高い」と述べている。
連立を組む相手としては「維新との連立は現時点で最も可能性の高い選択肢」として、日本維新の会との連立の可能性に言及した。日本維新の会が令和7年度予算案に賛成したほか、石破首相と前原誠司共同代表が親しい仲にあることを、その理由として挙げた。
山崎氏は国民民主党との連立については「自公政権がカバーできていない若者の支持を集めているので魅力的な選択肢」としながらも、国民民主党が掲げる減税政策には財務省が反対しているとして「国民民主党を味方につけても財務省が敵に回れば、政権基盤は逆に不安定化してしまうリスクがあります」と、慎重な考えを示している。
山崎氏は自らの見解に自信を持っているようだが、党内では小泉進次郎前選対委員長が参院選について「今のままでは本当に厳しい」(3月29日の読売テレビの番組)と述べたように、大敗のおそれすらある、との見方が強まっている。
そうした中で、すんなり石破続投というわけにはいかない。石破首相が意欲を持つ8月15日のメッセージ発出をはたしてできるのか、まったく見通しは立っておらず、あえて検証をする必要はないとの声が、党内では根強い。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)