アントニオ猪木が設立したプロレス団体を舞台に“お家騒動”が勃発! 金銭トラブルの訴訟を、なんとファミリー間で起こされてしまったのだ。しかも訴えられたのは、先頃籍を入れた4人目の妻だった。実は「女帝」と恐れられる彼女が、長年にわたって「燃える闘魂」を骨抜きにし、権勢を誇示してきたのだという。
「雲の上の人であり、『世界の猪木』だったのに、知らない間に変わってしまった。以前だったら南極でプロレスがしたいとか、ムチャクチャだけど大きな夢を語っていたのに‥‥。申し訳ないけど小さくなってしまった。早く目を覚ましてください!」
重い口調でこう嘆くのは、参院議員・アントニオ猪木氏(74)と元妻・倍賞美津子(70)の娘と結婚した、娘婿のサイモン・ケリー猪木氏(43)である。05年には新日本プロレスの社長に就任。約2年後に辞任して、猪木氏が旗揚げしたプロレス・格闘技団体IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)に合流して、取締役を務めている。
IGFといえば、元柔道選手の小川直也や石井慧らがリングに上がり、15年の年末まで行われていた格闘技イベント「INOKI BOM-BA-YE」が話題になった。猪木氏は14年にIGF取締役を辞任しているが、31.5%を保有する筆頭株主として関係は続けてきた。
これまで二人三脚で団体を運営してきた2人の間で、「場外乱闘」が起きたのは5月25日のことだった。格闘技ライターが説明する。
「猪木さんが新格闘技イベントISMを発表した会見で、『IGFは整理する』と発言したんです。団体の顔である猪木さんが離れればスポンサー集めは困難になり、案の定、IGFは存続すら危うくなっています」
6月14日の臨時株主総会では、猪木氏側からサイモン氏ら取締役3人の解任動議が出された。この時は委任状が無効とされて否決された。が、再度臨時株主総会を開き、解任動議を提出する動きがあるという。
そんなドロ沼状態の中で今度はIGFが、不当利得返還請求訴訟を東京地裁に起こす。その相手というのが猪木氏の夫人・H女史だった。
訴えの内容は、猪木氏のマネージメントを行うH女史に対して、14年4月から16年12月までに請求された、IGFの仕事とは関係のない経費、約4250万円の返還を求めたものだ。経費の内訳についてIGF関係者はこう話す。
「接待交際費約2000万円、海外含む旅費約1880万円のほか、マッサージ店やメガネ店の領収書、自動車免許の更新費用などが含まれていました」
さらに不明瞭なカネの流れとして、IGFは猪木氏が参院議員に当選後、13年8月から16年12月まで、住居家賃1400万円、社用車リース料320万円を支払っていたが、政治資金報告書の収支報告書に記載されておらず、政治資金規正法違反の疑いも指摘している。
「政治資金の件に関しては、残り2年の任期を清潔な政治家として全うしてほしいと思って公表しました。我々は決して猪木さんと揉めたいわけではありません。猪木さん側の側近らが騒動の原因にあると考えているのです」(前出・サイモン氏)