古舘伊知郎が荒れに荒れた。8月12日の土曜深夜のトーク番組「おしゃべりオジサンと怒れる女」(テレビ東京系)の中でのことだ。
「もっと毒のある番組、もっと過激な番組、もっとヘンテコリンな番組があってこそ多様性が生まれる。今、テレビは自主規制の神様が覆ってますね。昔の過激でフラチでメチャクチャなテレビが一概にはいいとは言えないけど、テレビがもっとヤンチャにならないと」
「本当に取り残されているのか古いのかもしれないけど、何でこんなに無難な編集して無難な、お行儀の良い番組なのかオレには理解できない」
そう、彼が怒っているのは「イマドキの口当たりの良い番組作り」についてだ。スポンサーの横ヤリ、さらに視聴者からのクレームを気にするあまり、毒にも薬にもならない番組が増えていることへの嘆きである。
しかし関係者は古舘の言葉に一定の理解を示しながらも、テレビ界を取り巻く現状についてこう語る。
「確かに古舘さんが言うこともわかります。そのせいでさらにテレビ離れが進んでいることも事実。でも過激なことをやれば番組が打ち切りに追い込まれかねず、スタッフの生活も危うくなる。今や世に問うような番組や、ハチャメチャな番組を作ろうという骨のあるテレビマンはほとんどいないと言ってもいいでしょう。そもそも会議で目立つ発言をすれば角が立つし、嫌がられる。もはやこの流れは止められませんよ」(テレビ関係者)
それでも古舘は同番組で続けて激高する。
「オレがちょっと過激発言ぽいことをする。プロデューサーが『あれ面白かったです』。それに対し俺が『使う?使う根性ある?』『使うに決まってんじゃないですか~、繰り返しちゃおっかな~』なんつって、(見たら)一切カット」
古舘が嘆くようにもはやアナーキーでヒリヒリするような番組は絶滅してしまったとは思いたくはないが…。
(魚住新司)