9月9、10日にかけて「FNS 27時間テレビ」(フジテレビ系)はテーマを「にほんのれきし」として石器時代から現代までを27時間かけて放送した。
その中で、尾木ママ(教育評論家・尾木直樹)が「小学校の教科書では聖徳太子(厩戸王/うまやどのおう)、中学校の教科書では厩戸王(聖徳太子)って書かれてるのよね」と発言したのを聞き、「若い世代の子たちとは歴史の話も通じなくなるのか」と驚いた向きも多かったのはないだろうか。
実際、今年2月に文科省は「次期学習指導要領改定案」にこの内容を盛り込んでいたが、「現場が混乱する」など批判が多く、今年3月にこの改定案は取り下げられた。
この改定案取り下げを認識していたはずの尾木ママが、なぜこのような発言をテレビでしたのかはナゾだ。「27時間テレビ」内の「ホンマでっか!?TV」の枠だったし、画面に映し出された「中学の教科書になると厩戸王(聖徳太子)に変わる!?」の「!?」の部分に最大限のエクスキューズがあったということなのか。
ともあれ、改定案取り下げによって復活することになったもうひとつの言葉が「鎖国」だ。この言葉のイメージによって、かつて日本は外国との交易をいっさい絶ち、世界の発展とは違う独自の道を歩んだという気にさせられているが、実際はスペイン、ポルトガルの2カ国との国交を断ったにすぎない。オランダを始め、中国、朝鮮とは交易を続けていたし、もとより、当時「鎖国」という言葉はなかったのだ。
ちなみに最近の教科書では「いわゆる鎖国制度」とボカして書かれている。当時の清国の海外渡航禁止政策「海禁」を代わりに使おうという意見もあり、教科書から消えかかったというわけだ。