元大関の意地がまさに炸裂中だ。
9月10日から幕を開けた大相撲9月場所。今場所は初日から日馬富士以外の3横綱が休場、加えて3日目からは今場所の好成績が期待されていた高安と宇良も休場を余儀なくされるなど序盤から予想ができない展開になっている。そんな本命不在の今場所で好スタートを切ったのが元大関の琴奨菊だ。
「振り向くより前を向いてやるだけ。今の自分を出して負けるのなら、つんのめって負けるという気持ち。方向性は定まっている」
と語った琴奨菊は、9月14日で序盤の5日間を終えて4勝1敗。3日目には日馬富士を相手に昭和以降最長の記録となる、新入幕から76場所目での初金星も上げた元大関の奮闘に、観客は連日、大声援を送っている。
「実力をしっかり出せば優勝もある」「大荒れの場所だが経験で乗り切ってほしい」「先は長い、焦るな」とテレビ中継に対する視聴者のネット上の反応も好意的なものが多くなっている。
そこで気になるのは今後の展開だが、まずは3月場所以来の勝ち越しを目指して土俵に上がることになるだろう。西前頭の筆頭である琴奨菊は、仮に勝ち越せば1場所での三役復帰の可能性が出てくる。そして今場所はその三役復帰に向けてかなりの追い風が吹く状況になっている。
5日目までを終えて三役で白星が先行しているのは大関豪栄道ただ一人。その他の力士は全員黒星が先行している。このままの状態で場所が進めば、場所後は三役の顔ぶれがガラリと変わる可能性が高い。さらに今場所は3横綱1大関がすでに休場しており、後半に星が伸び悩むということも回避できる。無用な取りこぼしをしなければ、必然的に好成績が期待できるというわけだ。
「あまり硬くなりすぎず、頑張ってやっている。結果は自分で作ること」とも語っていた琴奨菊。好条件がそろう今場所で、納得のいく結果を作り出すことはできるだろうか。
(戸畑マサシ)